1970年代や1980年代に日本の音楽シーンを席巻したシティポップが今、世界中で再評価されている。配信サービスが普及した現在では、楽曲単位で音楽を楽しむというリスナーも多いだろうが、シティポップの時代では「アルバム」単位で作品を楽しむリスナーも多かった。曲順やアートワークを含めてひとつの作品である「アルバム」を堪能することで、当時の雰囲気をより一層強く感じられるはず。そこで、今回は音楽ライターの栗本斉氏がセレクトした「絶対に聴くべきシティポップの名アルバム」5枚を紹介する。
●大瀧詠一『A LONG VACATION』(1981年)
日本のポップス史上、燦然と輝く名盤。1981年の発売から40年を超えてなお多くのファンを惹きつけ、40周年記念盤も発売された。レコード、CD、カセットなどあらゆる媒体で発売され続け、20年までの出荷枚数は累計で200万枚以上にのぼるといわれる。
●大貫妙子『SUNSHOWER』(1977年)
シティポップの金字塔的名盤。当時無名だった坂本龍一が全曲アレンジを担当した。ソロ名義2枚目となる作品で、外国人男性が本作のアナログ盤を探しにやってくるテレビ番組が放映されたことで、国内だけでなく海外でも高い人気を得ていることが広く認知された。
●寺尾聡『Reflections』(1981年)
日本レコード大賞を受賞し、売り上げ134万枚を記録した代表曲「ルビーの指環」を収録したアルバム。全曲を寺尾が作曲しており、リリース後の1年間で180万枚を突破した。大人のダンディズムを表現した、シティポップの世界観を一般に広く浸透させた名盤。