数人のスタッフに囲まれて会場から出てきた羽生結弦(28才)の肉体は“現役”さながらに鍛え上げられていた。胸板は分厚く盛り上がり、腕にはくっきりと血管が浮き出ている。居合わせたファンからは「現役時代よりもマッチョになってるじゃん!」と歓喜のため息が漏れた──。
3月30日に大阪でスタートした今年の「スターズ・オン・アイス」。全10日間の公演は4月9日に横浜でフィナーレを迎え、大盛況のうちに幕を閉じた。
「大阪、岩手とまわり、横浜が最終公演でした。横浜公演のチケットは最も高いシートだと3万円もするのに、4日間のチケットは即完売。いま話題のりくりゅうペアなど、日本のトップスケーターが参加していますが、なんといってもいちばん大きな歓声を集めたのは横浜公演のオープニングと大トリで登場した羽生さんでした」(スポーツジャーナリスト)
羽生にとってプロ転向後初の参加となった「スターズ・オン・アイス」だが、そのプログラムも大きく注目された。
「今回、披露したのは2014-2015年シーズンのフリーで滑っていた『オペラ座の怪人』でした。このシーズンは、滑走前のウオームアップ中に起きた接触事故や右足首のけがなど、度重なるアクシデントに見舞われた年としてファンの間では有名。けがの影響もあり、プログラム構成の難易度を落とさざるを得なかったことが尾を引いているのか、現役中は封印されていた“因縁”のプログラムなんです」(スポーツ紙記者)
このプログラムは2月の羽生のソロ公演「GIFT」で久しぶりに披露され、東京ドームで3万5000人の観衆を魅了したが、本人にとっては納得できるものではなかったようだ。実際、大阪公演後のインタビューでは、《(東京ドーム公演後)もっと完成させたものを、もっと体力のある状態で、皆さんにお届けしたいと考えて滑ることにした》と話している。
華麗な衣装の下に引き締まった肉体美を持つ羽生だが、現役時代は意識的に筋肉を太くすることを避けていたという。最近でも、「ウエートトレーニングはやらない」と公言している。
「羽生さんはスケートに必要な筋肉は氷上で滑り込むことでしかつかないという考え方の持ち主。実際、フィギュアでは跳び上がるときよりも、氷に着地するときに筋力が必要なのですが、この筋肉はウエートトレーニングで鍛えることは難しいとされています」(前出・スポーツジャーナリスト)
かつて前人未踏のジャンプに挑戦した際にはその肉体の変化を実感したという。
「平昌五輪後に本格的に4回転半ジャンプに取り組んだ当初は、かなり筋肉痛にもなっていたそうです。本人は『やっているうちに、遠心力や慣性を取り込むために必要な筋肉がだんだんとついてきた』と語っており、4回転半ジャンプに挑む過程で体重も増えたそうです」(前出・スポーツ紙記者)
プロ転向後も羽生は4回転半ジャンプへの挑戦にこだわると公言してきた。いつかファンの前でこのジャンプを成功させるために、いまもハードな練習をこなしているのだろう。進化し続ける肉体美が何よりの証拠だ。
※女性セブン2023年4月27日号