中国北京市で、結婚した女性に現金300万元(約5700万円)を含め、マンション、自動車、宝石など、総額で1000万元(約1億9000万円)相当の財産を貢いだ挙句に、飛び降り自殺をしたIT企業創業者の遺族が元妻を訴えた裁判で、北京市の裁判所は4月、元妻に対して「金目当てで結婚し、夫を自殺に追い込んだ」などとして、現金や宝石などをすべて返還するよう命じる判決を下した。中国各紙が報じている。
死亡した男性は北京市在住だった蘇翔茂氏。蘇氏は2017年3月にマッチングアプリで霍欣昕という女性と出会い、同年6月に結婚した。蘇氏が一目ぼれしたこともあって、知り合った当初から、霍は蘇氏に金品を要求。さらに、海南省の高級リゾートマンションや多額の現金などを贈るとの誓約書を書かせたという。
霍は蘇氏にもう財産がないと分かると、蘇氏に離婚を迫り、結婚から40日後の7月18日に正式に離婚。蘇氏はそれから2カ月も経たないうちに、高層ビルから飛び降り、死亡してしまった。遺書には「元妻に、多額の財産を取られた挙句、離婚され、生きる望みを失った」などと書かれていたという。
これを受けて、蘇氏の弟ら親族が翌年、霍を訴える裁判を起こすと、中国全土で大きな関心を呼んでいた。
この判決文はSNS「微博(ウェイボー)」で1億4000万回以上閲覧され、数万件のコメントが寄せられている。コメントでは「ついに判決が出た。私はこの事件をずっと追ってきた。蘇氏は天国で少し安心したはずだ。しかし、彼はあまりにも高い代償を払った。ため息が出る!」などと霍蘇氏の死を悼む声が書き込まれている。