比類なき選手となったロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平(28)。その「意識の高さ」は、周囲をたびたび驚かせてきた。2012年のドラフト5位で、日ハムに大谷と同期入団した新垣勇人氏(37)が振り返る。
「翔平は野球に対する考え方がほかの選手とは違っていました。日常生活のすべてが野球につながると考え、自分の体と向き合い、いろんな人に意見を聞いて、筋トレや柔軟を繰り返していました。当時から自分の体に合うサプリメントも研究していましたね。僕は彼より9歳年上で27歳の時に日ハムに入団したけど、野球に対する探求心は高卒の翔平にかなわないと思った」
投手として入団した新垣氏は、大谷のピッチングにも度肝を抜かれた。2012年の新人合同自主トレでのことだ。
「キャッチボールをした時、軽く投げた球がワンバウンドするかと思ったら途中でビューンと伸びて、そのままグラブにドーンと収まったんです。コイツは化け物かと思いました。ブルペンでは球数を投げるというより、1球1球を確かめながら丁寧に投げていましたね」(新垣氏)
2017年10月、新垣氏は、右足関節の手術を受けて入院していた大谷の病室を訪れた。すると大谷は、ベッドに横たわった状態で、メジャーリーグの試合を食い入るように見ていたという。
「当時からメジャーの選手を研究していたのでしょう。僕は同じ投手として翔平に負けたくない気持ちがあったけど、プロ入りから1年も経つと次元が違う選手だと思うようになりました」(同前)
新垣氏は引退後、東芝野球部のコーチを経て、イベント事業などを行なう合同会社カキシードの代表を務めている。
※週刊ポスト2023年4月28日号