しのざき美知さん(54才、2018年に「しのざき見兆」に改名)は、「ものまね女四天王」や「お笑い四天王」のひとりに数えられ、たけし、タモリ、志村けんさんにも認められた女芸人だ。しかし、番組プロデューサーが土下座して慰留したにもかかわらず、人気絶頂の25歳で結婚を機に引退。出産、育児、親の介護を経験して2018年に「ナナしの娘」というユニットを結成して復帰した。数年ぶりに表舞台へと戻ってきた彼女の顔には、トレードマークだったホクロがなくなっていた。その理由と激動の半生を語った──。【前後編の後編。前編から読む】
全国の容姿に自信が持てない方々を背負っている
──いわゆる“ブスキャラ”として人気を集めた当時と比べて、なんだか雰囲気が変わったように見えます。
きっとホクロがないからでしょう。自分の中でも“しのざき美知”といえば、小鼻にあった大きなホクロがトレードマークのおデブちゃん。山口百恵さんが引退するときのコンサートでステージ上にマイクを置いたように、私も『芸能界にはもう戻らないわ』という気持ちで、育児がちょっと落ち着いたタイミングで手術して取っちゃいました。
──ホクロを取られたんですね。
子育て中に近所のスーパーで買い物していると「あっ、しのざき!」って、バレてしまい、顔よりもホクロだなと思って。辞めても皆様に覚えていてもらえることはいいことだったんですけど、主婦でしたし、子育てをしっかりやりたいと思ったんですね。
──ホクロを取らないとバレてしまうほど、お茶の間に浸透していたしのざきさんですが、今のテレビだと炎上したりするような容姿イジリをされてきましたが、当時はどんな思いだったのでしょうか?
勝手に「全国の容姿に自信が持てない方々を背負っている」という使命感でした。ブスという言葉を私が全部受け止めてやる、と。そういう覚悟で活動していたからこそ、多くの皆さんが応援してくれたんだと思います。でもあの頃に比べると、今はデブとかブスの捉えられ方も変わりましたよね。
──どう変わりましたか?
昔は私みたいなものが「私ってこうなんですよ。趣味はこれです」みたいな個人的な話をしたところで、誰も興味を持たないのが当然だと思っていました。でも今はマツコ・デラックスさんがトークで人気を集めて、テレビの中心にいるじゃないですか。太っていようが痩せていようが、その人らしさをテレビで出していい時代になったんだと感じています。