日本のエンタメ業界に絶大な影響力を持つジャニーズ事務所が揺れている。創業者・ジャニー喜多川氏に関する一連の性加害報道は、被害者が名乗り出たことで、重大な局面を迎え国外にも波紋を広げた。ファンの間でも動揺が広がる中、新旧所属タレントの取るべき行動は──。
「ジャニーさんのやったことは善か悪かで言えば悪です。犯罪行為は絶対に許されません。ただ、BBCをはじめとするメディアの報道姿勢にも疑問はあるし、被害者の告発の中身に、それはちょっと違うんじゃない?と思うところもありますよ」
複雑な胸の内を本誌『女性セブン』に明かすのは元ジャニーズJr.のリュウ氏(31才)。日本では3月中旬に配信され、大きな反響を呼んだ英公共放送BBCのドキュメンタリー番組『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』に出演した証言者のひとりである。
2019年に死去したジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(享年87)の性的虐待問題を追及した同番組はイギリスをはじめ世界各国で放送された。
「かねて指摘されてきたジャニー氏の疑惑にテレビで初めて踏み込み、リュウ氏以外にも複数の元Jr.が被害の実態を証言しました。番組を制作したジャーナリストのモビーン・アザー氏は性的搾取があったにもかかわらず、日本のマスコミが沈黙を続けていることにも疑問を投げかけています」(芸能関係者)
番組が提示した重要な問題のひとつが“グルーミング”だ。もともとは動物の毛づくろいを表す言葉だが、性虐待の文脈では、加害者が被害者に接近するために巧みに懐柔することを意味する。今回の問題でも被害者のほとんどがジャニー氏への感謝の言葉を口にしたため、このグルーミングが指摘された。しかし、前出のリュウ氏は、「自分は“それ”に当たらない」と語る。
「ぼくはいまでもジャニーさんをプロデューサーとして尊敬しています。洗脳や刷り込みではなく、ジャニーさんの特別な才能や審美眼は結果がすべてを物語っているし、ジャニーさんが見出したグループで人気が出なかったことがありますか? BBCにグルーミングと決めつけられ、反論の機会も与えられないまま放送されたことには強い憤りを覚えます」
ジャニー氏の“誘い”を直前で拒否したと明かすリュウ氏が危惧するのは、一連の報道が過熱することで、無関係のタレントまで被害に遭ったという誤解が生まれることだ。
「性的な行為を受け入れないとデビューできないとか、売り出してもらえないという事実は、ぼくが見てきた限りはありません。実力がなければデビューできない厳しい世界ですし、むしろ行為を受け入れたのに大成しなかった人もいる。今回の報道で、いま活躍している人だったり、当時のJr.の大半が被害に遭ったと思われることは彼らにとっても不本意でしょう」(リュウ氏)