春の訪れが早かった今年は、夏が来るのも早そう。だから、その前に少しでもやせておきたいところだけど……。「どんなに頑張っても、ここを変えないとやせられない」という“敵”がある。それが味覚だ。
炭酸飲料を飲みながら、スナック菓子を一気に食べ切り、後悔をした経験はないだろうか。
「一気に食べてしまうのは、“魔の味覚スパイラル”にハマってしまうから」
そう解説するのは、「味博士」として味覚や食べ合わせの研究を行っている鈴木隆一さんだ。鈴木さんはあらゆる食べ物、飲み物を基本の五味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)に分解し、数値化する味覚センサー「レオ」の開発者でもある。
別掲のグラフは、炭酸飲料とスナック菓子を一緒に食べた場合の五味の感じ方を数値で表したものだが、「ポップコーン×コーラ」「ポテトチップス×炭酸飲料」など、途中でやめられない組み合わせのメニューには、甘味と塩味が突出して高いことが共通している。
「五味のうち、甘味は中和系、塩味は刺激系の味覚に分類されます。塩味も甘味も、どちらかが強いと途中で飽きてしまいますが、異なる2つの味覚で、刺激と中和を繰り返すと脳は心地よさを感じ、もっと食べたいという指令を発するようになる。これが食欲を増進する“魔の組み合わせ”です」
食べすぎを回避するには、何より、甘味と塩味のバランスを崩すことだ。
たとえば、塩味の強いスナック菓子を食べるときは、苦味の強いコーヒーや、酸味の強いレモン水を合わせる。また、おにぎりで人気のツナマヨは、甘味と塩味が同じくらい含まれるが、昆布やかつおぶしのだしが効いたスープなどの旨味の強いものを一緒に摂ると、脳が早く満足するため、食べすぎを防止することができる。
「人の感覚には慣れがあり、最初は味が濃いと感じても、次第にこんなものかと思いがちです。
たとえば、食べなれない人が薄味の京料理を食べると繊細な味が感じられず、物足りなく思ってしまうこともあるでしょう。
その点、薄味に舌が慣れて甘味や塩味に対する感受性が強くなれば、糖分や塩分が適切な量になり、食欲もコントロールできるようになるんです」
体重や見た目も重要だが、将来の健康のためにも、味覚を見直す必要があるのだ。