スポーツ

【江本×中畑×達川・球界OB座談会】広島・新井監督に「選手と一緒に喜ぶのはいいけど…」と不安も

広島の新井貴浩・監督のチーム作りをどう見る?(時事通信フォト)

広島の新井貴浩・監督のチーム作りをどう見る?(時事通信フォト)

 WBCの勢いそのままにプロ野球も開幕から例年以上の盛り上がりを見せている。大激戦のペナントの行方を占うべく大物球界OBを緊急招集。野球評論家の江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏の3人が見どころを大いに語った。【全4回の第2回。第1回から読む

 * * *
中畑:予想外だったのが広島の好調よ。まだシーズンが始まったばかりだけど、首位に浮上したり、評論家たちの下馬評を覆している。

達川:ボクははじめからカープ優勝を予想していましたよ。オープン戦を見よったら阪神と巨人より強いと思ったんです。カープはピッチャーが揃っていますからね。

中畑:えー! 本当に?

達川:今は外国人バッターがハマっていないですが、去年のヤクルトのサンタナ(30)とオスナ(30)のように機能すれば、優勝すると思っています。

江本:カープは雨に強いんですよ。雨天コールドで2回勝ち、ほかの雨での試合でも逆転勝ちを2回している(4月19日終了時点、以下同)。元々水の中にいるようなやつばかりだからね。なんせ鯉だから(笑)。

中畑:今の広島の勢いは雨のせいなのか。

達川:それもあると思いますよ。環境が人を育てるというか、例えば巨人選手の場合、本拠地がドームだから、雨予報があったら中止だと思うんですよ。だけど、広島の連中は誰もそうは思わない。

中畑:オレは新井(貴浩)監督(46)のチーム作りも上手いと思うな。同じ駒大の後輩だけど、オレが監督だった時の雰囲気と似ているように思える。

達川:確かに新井はいい雰囲気を作っていますが、中畑さんとはかぶってませんよ。

中畑:何っ! 否定の仕方が酷いな。「そうですね」と合わせろよ(笑)。

江本:新井は選手と一緒に喜ぶのはいいけど、少しは抑えたほうがいいんじゃないのと思うけどね。負けが重なった時に、去年の阪神の矢野(燿大)みたいに沈んだ雰囲気にならないかなと……そこを心配しちゃうよね。落ちかけた時にどう立ち直らせるかがカギになる。それをヒット1本打って“イェーイ”とやっていると、見る見るうちに泥沼にハマっていくよ。

中畑:あと好調なチームと言えばDeNAだよ。中継ぎも悪くないし、三浦(大輔)監督(49)も、だんだん勝ちパターンに対する意識を持って采配を振るうようになってきているよね。選手の質もよくなっているし、オレはいいところまで行くんじゃないかと思っている。

達川:石田(健大、30)、東(克樹、27)、今永(昇太、29)ら既に強力な布陣にトレバー・バウアー(32)が加わるんですから強いですよ。

江本:DeNAもこれだけいいピッチャーがいるのであれば、誰か完投するような流れを作ってやると投手陣は安定してくる。それが判で押したように交代させるからもう一つ伸び上がってこない。

達川:たしかにセ・リーグでは9回を投げ切った投手が阪神の西(勇輝、32)だけ。そこは今後のポイントになるかもですね。

第3回に続く

【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍。

中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた。

達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に。

※週刊ポスト2023年5月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブラジルを公式訪問している佳子さま(写真/アフロ)
佳子さま、外交関係樹立130周年のブラジルを公式訪問 子供たちと笑顔でハイタッチ、花柄のドレス姿も 
女性セブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
山本賢太アナウンサーのプロフィール。「人生は超回復」がモットー(フジテレビ公式HPより)
《後悔と恥ずかしさ》フジ山本賢太アナが過去のオンラインカジノ利用で謝罪 「うちにも”オンカジ”が…」戦々恐々とする人たち
NEWSポストセブン
親日路線を貫いた尹政権を「日本に擦り寄る屈辱外交」と断じていた李在明氏(時事通信フォト)
韓国・李在明新大統領は親中派「習近平氏の接近は時間の問題」、高まる“日本有事”リスク 日米韓による中国包囲網から韓国が抜ける最悪のケースも
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 落合博満の巨人入団をめぐって議論白熱「どう転ぶかわからないけど、ボクは落合を獲るのがいいと判断した」
週刊ポスト
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン