WBCの勢いそのままにプロ野球も開幕から例年以上の盛り上がりを見せている。大激戦のペナントの行方を占うべく大物球界OBらを緊急招集。野球評論家の江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏の3人が見どころを大いに語った。【全4回の第4回。第1回から読む】
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中畑:5月30日から交流戦が始まるし、パ・リーグの話もしておかないとな(笑)。パにはいいピッチャーが多いというイメージがあるから、セの打者はどのチームと対戦してもイヤだろうね。
江本:ロッテの佐々木(朗希、21)とオリックスの山本(由伸、24)と対戦する球団は不運としかいいようがない。ソフトバンクは藤井(晧哉、26)が調子いいし、西武の高橋(光成、26)なんかも好調。セにとって交流戦は不幸のオンパレードだね。逃げたほうがいい。
達川:高橋は江本さんの現役の頃より髪を伸ばしてますからね。当時、江本さんは完投するから散髪に行く時間もないんだろってことで“散髪代出してやろうか”とヤジられていましたよね(笑)。
江本:「ヒゲを剃れ!」とかもね。
中畑:特に佐々木は使い続けたら20勝は軽くいくはずなんだけど、これまでの温室育ちから、吉井(理人)監督(58)はいつ解き放つんだということだよね。
江本:佐々木が中6日で1年間投げ切ったらロッテは優勝するよ。でもそれを予想する評論家がいない。ロッテの吉井監督は球数論者だからね。佐々木がピッチャーとしてこれ以上伸びないんじゃないかと心配です。
達川:吉井はピッチャーを守るタイプの人間なんです。ただ、江本さんの言うようにロッテが優勝しようと思ったら、佐々木が15勝5敗といった成績で10個以上は貯金をつくらないといけない。
中畑:WBCをきっかけにパドレスのダルビッシュ(有、36)から教わったスライダーもひと回りキレがよくなってるし、これまで以上に期待は大きいんだけどね。佐々木にとって今年は勝負の年だと思う。
江本:オレもダルビッシュにスライダーを教わっていたら、あと120勝はできたかもしれない。
達川:いやいや、逆に王(貞治)さんが“消えた”と称した「エモボール」をダルに教えてやったら、あいつは50歳まで現役を続けられますよ(笑)。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍。
中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた。
達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に。
※週刊ポスト2023年5月5・12日号