国内

【政治部記者座談会】襲撃事件を深刻に受け止めなかった首相“マッチョな岸田”アピールの好機だったのか

間近で見ている記者たちは、岸田文雄・首相の「ある特性」に気づいたという(時事通信フォト)

間近で見ている記者たちは、岸田文雄・首相の「ある特性」に気づいたという(時事通信フォト)

 現役総理が襲撃されるという事件の裏で何が起きていたのか。昨年起きた安倍晋三・元首相の暗殺事件を彷彿とさせる凶行に誰もが危機感を募らせるなか、最も変わらなかったのが岸田文雄・首相その人だった。もっとも間近で見ている記者たちは、岸田首相の「ある特性」に気づいたという──。

 衆参統一補選の遊説先である和歌山の漁港で起きた岸田首相襲撃事件。その直後に内閣支持率が10ポイント(ANN調査)も急上昇し、「襲撃事件の効果か?」と自民党議員たちを驚かせている。

 事件後に首相が周囲の制止を振り切って遊説を行なったことが、〈岸田文雄首相、爆発事件に負けず衆院選の応援演説〉(スポーツ報知)と伝えられ、〈岸田首相「直接お礼の電話」容疑者取り押さえの漁師らに〉(FNN)などの政権寄りメディアによる“美談報道”が影響しているのは間違いない。

 首相が事件を選挙アピールに利用すれば、相棒の松野博一・官房長官は、今回の警備について「和歌山県警の態勢構築など必要な措置は講じられていた」と説明した。警備態勢に不備がなかったのに事件を防げなかったとすれば、それこそ今後に禍根を残す大問題なのだが、簡単に“問題なし”と言い切ってしまう。

 そこから見えてくるのは、“転んでもただでは起きない”というしたたかさではなく、この政権の危機意識の低さ、岸田首相の鈍感さだ。

 政治記者たちはどう見ているのか。本誌・週刊ポストは覆面座談会を緊急開催。メンバーは政治部キャップクラスのベテラン記者A氏とB氏、第一線で取材する若手のC氏とD氏だ。【全3回の第1回】

 * * *
司会(編集部):襲撃事件後に支持率が上がって岸田首相は喜んでいる?

記者A:内心はホクホクしているとしても、官邸ではそんな様子は出さない。でも選挙にプラスという感触はあるでしょう。

記者C:岸田さんは事件直後からそう深刻には受け止めていなかった。周囲がきつく止めたが、本人は「(選挙の)応援をやめるわけにはいかないだろう」と演説を中止する気配はなく、東京に戻ってからも夕方にはいつもの理髪店に行ってみせた。事件を“テロに屈しないマッチョな岸田”をアピールするチャンスと考えたのではないでしょうか。

記者D:しかし、当日の警備にしても万全だったとは言いすぎです。先に容疑者を拘束したのは民間人で、SPらしき警察官が爆発物を聴衆に向けて蹴り飛ばした。爆発物の威力がもっと強かったら、大惨事になっていた。

記者B:官邸幹部たちを取材しても事件については口が重い。容疑者の背景がまだわからないから、安倍銃撃事件の旧統一教会問題みたいな背後関係が出てくるのではないかと心配している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広(時事通信フォト)
【独占】中居正広「謝罪コメント」に被害女性“X子さん”が思いを告白「私の人生は元には戻らない、それだけです」
NEWSポストセブン
第49回報知映画賞授賞式で主演女優賞を受賞した石原さとみ
石原さとみの夫が経済紙に顔出しで登場 勤務先では幹部職に大出世、複数社で取締役を務め年収は億超えか 超スーパー夫婦の‘秘策”は瞑想
女性セブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現(写真はイメージです)
《独占告白》「こたつに入ったクマが食べたのは…」年末に自宅を荒らされた家主が明かした緊迫の一部始終「チョコレートやみかんには手を付けず」「小さな糞がたくさんあった」
NEWSポストセブン
お店の前で合流する永瀬廉と西畑大吾
「だいれん」キンプリ永瀬廉&なにわ男子・西畑大吾が“決起集会” 1月期ドラマで共演、仲が良すぎて“ムズすぎる”場面も
女性セブン
1月7日放送の『ザ!世界仰天ニュース』では中居正広の出演シーンが全カットされていた(番組公式HPより)
《高視聴率記録》中居正広出演シーン全カットの日テレ『仰天ニュース』、“MC不在”の4時間に編集した制作サイドに業界内で上がる「すごすぎ」の声
NEWSポストセブン
小説家の葉真中顕氏(右)と新刊『将棋で学ぶ法的思考』(扶桑社)が話題の法学者の木村草太・東京都立大教授が対談
《2025年の将棋界を予測》藤井聡太七冠の圧倒的強さの秘密 対局相手を絶望させる「2度負かされる」の意味、負けた棋士が調子を落とす「藤井イップス」も
週刊ポスト
元「ANZEN漫才」のみやぞん(Instagramより)
《5500万円のロールス・ロイスを買いたい》みやぞんが“金持ちキャラ”に激変 「ANZEN漫才」解散後の相方は月収は850円で「広がる格差」
NEWSポストセブン
来る3月、大谷翔平が日本に凱旋
大谷翔平、日テレが生中継する開幕前の壮行試合に“出場拒否”の可能性 依然として尾を引く「新居報道騒動」
女性セブン
けがの前と変わらない立ち姿を披露された美智子さま(2025年1月2日、東京・千代田区。撮影/JMPA)
美智子さま「杖をつかずに一般参賀に参加」の目標を見事に実現 宮内庁病院は看護師2名の追加採用を決定、“快復のカギ”となるか
女性セブン
450日以上にわたって拘束され続けているリリー・アルバグさん(イスラエル大使館の公式Xより)
《停戦合意を前に19歳女性の人質動画を公開》ハマスが450日にわたり拉致・監禁「性奴隷」と呼ばれ…深刻な肉体的苦痛の実態「もう私たちが知っている彼女ではない…」
NEWSポストセブン
女性との間に重大トラブルを起こしていたことが判明した中居正広
「田原俊彦、植草克秀を収録済み」中居正広『だれかtoなかい』が早期打ち切り危機…空白埋める「毒舌フリーアナ」
NEWSポストセブン
2024年12月13日の事始め式では青いストールを巻いて現れた
《六代目山口組・司組長のファッションに注目集まる》原点は「チョイワル」コーディネート、海外高級ブランドを外商で取り寄せ、サングラスは複数用意して全身グッチ
NEWSポストセブン