青森県六戸町で自宅が全焼し、一家4世代4人を含む5人の焼死体が見つかった。全焼した自宅玄関で遺体として発見された親族の92歳男性が事件に関与した可能性があるとみて捜査が続けられている。この男性が抱えていた一家への恨みは深いものがあった。【前後編の後編。前編から読む】
放火の被害にあったのは青森県六戸町犬落瀬の十文字利美さん(68)宅。火災現場で遺体で見つかった砂渡好彦氏(92)は、利美さんの母であり火災で亡くなった和子さん(88)の兄にあたる。十文字一族はこの集落で代々名家として知られている。放火の背景には、好彦氏の一方的な恨みがあったようだ。
好彦氏は恒常的に和子さんへの不満を口にしていて、近隣住民からは多くの証言が得られた。ただ、その憎しみは和子さんだけではなく十文字一家そのものに向けられており、「“かたきをとる”とよく言っていた。家に火をつけると聞いたのも一度や二度ではない」(近隣住民)と、強い憎しみを募らせていたことが窺える。なかには「放火をするような人には見えない。十文字家に不満をもらしていたのは知っていたが、表情は優しかった」という声もあったが、好彦氏は近所でも孤立していたという証言もあった。別の近隣住民はため息交じりにこう語る。
「近所付き合いがまったくなく、町内会にも入っていなかった。ごみも収集場に出さず、『俺はゴミなんて出さない』と話していた。溜まったごみはどうしていたのかわからない」