決して触れてはいけない玉手箱が開かれたとき、封じ込めた過去がいま、洋上に浮かび上がる──。公開から10日で観客動員数407万人、興行収入58.6億円突破というロケットスタートを切ったのは、4月14日に公開された『名探偵コナン 黒鉄の魚影』だ。シリーズ26作目となる本作が公開されると、「鳥肌が止まらない」「過去最高傑作」と瞬く間に口コミが広がり、興行収入100億円超えが確実視されている。
今作の舞台は東京・八丈島近海に浮かぶ海洋施設『パシフィック・ブイ』。そこで進められる「新技術」を巡って、コナンたちと黒ずくめの組織との激闘が描かれる。
物語の鍵を握るのは、過酷な運命を背負う少女・灰原哀。元は黒ずくめの組織の一員で、工藤新一の体を縮ませた薬の開発者ながら、自身も薬を飲み、いまは小学生の姿となっている。出会った当初こそ、灰原に怒りと疑いの目を向けたコナンだったが、彼女の苦悩を知ったいまは唯一無二の理解者といえる存在になっている。
今作では、そんな灰原のコナンに対する秘めた思い、心の機微が繊細に描かれる。同月15日に東京・日比谷で行われた公開記念舞台挨拶で、灰原役の林原めぐみが「いつ死んでもかまわないと思っていた子が、生きることに強い意志を持てるようになった」と話したように、彼女の変化にも注目だ。
これまでずっと映画を見てきたコナンファンも、最近は映画から遠ざかっている人も楽しめる今作といえそうだ。。
※女性セブン2023年5月11・18日号