芸能

globe・KEIKOが語るくも膜下出血からのリハビリ「歌は全盛期の7割」「完治と判断することは難しい」

弾ける笑顔

インタビュー時に豊かな表情を見せたKEIKO

 2011年にくも膜下出血で倒れてから約12年。長らく音楽活動から遠ざかっていたglobeのKEIKO(50才)が、昨年12月に十数年ぶりとなる新曲『WHITEOUT』を発表し、今年1月には大分でラジオ番組のレギュラーが始まった。CDの総売上枚数は約3000万枚。平成の歌姫として一時代を築いた彼女が、2011年に病魔に侵されて以来、初めてメディアのインタビューに応じた。

 異変が起きたのは2011年10月の夕方だった。自宅で体調不良を訴え、救急車で搬送されたKEIKOはくも膜下出血と診断され、5時間以上に及ぶ手術を受けた。昏睡状態に陥ったKEIKOはEICU(救急集中治療室)に運び込まれ、目を覚ましたときには1週間以上が過ぎていたという。1か月ほどの入院期間を経て、KEIKOは都内の自宅に戻って療養を続け、自宅療養を始めて数年が経った頃、周囲のすすめで大分の実家に身を寄せた。

 現在は体力にまったく問題はなく、ひとりで自転車に乗って出かけることもあるという。以前は日課でウオーキングに励み、ピラティスとヨガにも通った。

「母の影響でゴルフも始めました。1年ほど前からなのでスコアはまだまだですけど、70才になってもできるスポーツって素晴らしいですよね。

 リハビリの一環で家事全般もやっています。料理はあまり得意ではないですけど、主に掃除洗濯担当で、姪っ子にはよく『は?い、ゴミ捨てて!』って言われます(笑い)。仕事が忙しかったときは、家のことはほとんどしていなかったので、新鮮な気持ちになるし、いま考えると生意気だったなあって。家族の存在は本当にありがたいですね。嫌なことを言われても素直に聞けるし、そうじゃなかったらキツイなってこともありますよ」(KEIKO・以下同)

 脳の訓練と同時に彼女が進めてきたのが、歌手としてのリハビリだ。退院後、KEIKOをレコーディングスタジオに連れて行った元夫の小室哲哉氏(64才)は、2018年1月に開いた引退会見で、「歌う気持ちがないと感じた」と明かしていた。

「彼が声を出してみようと言ってスタジオに行ったことは覚えていますが、記憶は曖昧なんですよね。ただ、表立って言われた『歌う気持ちがない』とかそういうことはまったくなくて。いまもカラオケにはよく行きます。中島みゆきさんが大好きで『悪女』を歌ったり、自分の曲も歌いますよ。

 声がどこまで出るようになったかを試すのにいいのが、globeでも私がいちばん好きな『FACES PLACES』です。すごく低いところと高いところがあって難しいんですけど、このキーまだ出るかな?って挑戦すると、自分の声がどこまで戻ったかを確認するバロメーターになるんです。あくまでカラオケレベルの話ですが、自分としては全盛期の7割くらいまでは戻ってきていると思います」

 1997年に4大ドームツアーを行い、100万人以上を動員した“平成の歌姫”KEIKO。彼女の人生と歌は切っても切り離せない。原点は小学3年生のときに、地元大分で参加したのど自慢大会だ。

「父にすすめられて、松村和子さんの『帰ってこいよ』を歌いました。(歌の才能について)自分では気づかなかったけど、父は早くから歌わせたかったみたいです。小さいときはピンク・レディーとか(松田)聖子ちゃんに憧れてました。小学校の文集には照れ隠しで漫才師になりたいって書いたけど、本当はアイドルになりたかった。『ザ・ベストテン』(TBS系)を見ながら、私ならこういうふうに登場したいなとか、よくシミュレーションしてました」

KEIKO

くも膜下出血を経験しながらも、「私が落ち込んだりしていたらダメですから」と前向きな発言もするKEIKO

コメント欄に「ざまあみろ」

 高校時代にプリンセス プリンセスのコピーバンドを結成したこともあるが、卒業後は京都のホテルに就職した。

「実家を継ぐつもりだったので修業を兼ねてホテルで和食のサービスに従事していました。ただ、歌への想いを断ち切れなくて、大阪にいるときにダメ元でオーディションを受けたらまさかの合格! あのときはステージで転んだりして、すっごく痛かったんですけど、根性でやりきりました」

 それからのシンデレラストーリーは周知の通り。1995年のデビューシングル『Feel Like dance』が95万枚を売り上げ、4作目の『DEPARTURES』はダブルミリオンを突破。ファーストアルバム『globe』の売り上げ450万枚は、当時の日本記録を更新した。

「『およげ!たいやきくん以来です』って言われたことを覚えていますが、自分ではそれほど実感がなかったんですよね。周りの人に『すごいことだよ!』と言われても『そうですかね?』みたいな。ついこの前まで大阪のカラオケボックスで歌っていた会社員だったので、喜び方もわからなかったんでしょうね。

 当時の映像をYouTubeで見たりすると、コメントがついているじゃないですか。それを読むとすごい励みになります。たまに嫌なことが書いてあっても、都合のいい性格でそんなに気にならないんですよ。病気をしたときも『ざまあみろ』みたいなコメントがたくさんあって、SNSって怖いなと思ったけど“うっさいわボケ!”という感じで(笑い)。いまに見とけよって、むしろ活力にしていました」

 脳の病気で怖いのは、うつ病や躁うつ病になることだが、生来のポジティブな性格が幸いしたのか、KEIKOがうつ状態になることはなかった。

「まさにTHE前向き(笑い)。お医者様からも、KEIKOさんはそんな心配はなさそうですねって言われていました。 あまりにも明るすぎるから、逆に“躁状態”じゃないかと心配されてしまったくらいです」

 どんな質問にも当意即妙に返し、記憶力にも問題がないように思える。しかし、療養はいまも続いている。「高次脳機能障害」がほかの病気と違うのは、治療のゴールが明確ではないという点かもしれない。

「前の私を知っている家族からしたら、ちょっとした異変が違和感となります。物忘れをすると“注意力に問題がある”と見られてしまうし、テンポよく話すと“しゃべりすぎていておかしい”と受け止められてしまう。

 自分では異変に気づけない分、家族にいろいろと指摘してもらうことになりますが、まだ私の脳は以前の状態に戻っていないのでしょうね。そもそも“完治”と判断することが難しい病気なんだと思います。

 でも、あまり深く考え込まないようにしているんです。同じような症状で悩まれているかたもたくさんいるでしょうし、元気になってもらうと言ったら偉そうですけど、私が落ち込んだりしていたらダメですから」

※女性セブン2023年5月11・18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

常盤貴子が明かす「芝居」と「暮らし」の幸福
【常盤貴子インタビュー】50代のテーマは「即興力」 心の声に正直に、お芝居でも日々の暮らしでも軽やかに生きる自分でありたい
週刊ポスト
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
ホストにハマったAさんが告白する“1000万円シャンパンタワーの悪夢”「ホテルの部屋で殴る蹴るに加え、首を絞められ、髪の毛を抜かれ…」《深刻化する売掛トラブル》
NEWSポストセブン
西武・源田壮亮の不倫騒動から5カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武源田と銀座クラブ女性の不倫報道から5か月》SNSが完全停止、妻・衛藤美彩が下していた決断…ベルーナドームで起きていた異変
NEWSポストセブン
大谷夫妻の第1子誕生から1ヶ月(AFP=時事)
《母乳かミルクか論争》大谷翔平の妻・真美子さんが直面か 日本よりも過敏なロスの根強い“母乳信仰”
NEWSポストセブン
麻薬の「運び屋」として利用されていたネコが保護された(時事通信フォト)
“麻薬を運ぶネコ” 刑務所の塀の上で保護 胴体にマリファナとコカインが巻きつけられ…囚人に“差し入れ”するところだった《中米・コスタリカ》
NEWSポストセブン
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】
NEWSポストセブン
公務のたびにファッションが注目される雅子さま(撮影/JMPA)
《ジャケットから着物まで》皇后雅子さまのすべての装いに“雅子さまらしさ“がある理由  「ブルー」や小物使い、パンツルックに見るファッションセンス
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん(2025年5月)
《英才教育》小室眞子さんと小室圭さん、コネチカット州背景に“2人だけの力で”子どもを育てる覚悟
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
【ステーキの焼き方に一家言】産後の小室眞子さんを支えるパパ・小室圭さんの“自慢の手料理”とは 「20年以上お弁当手作り」母・佳代さんの“食育”の影響
NEWSポストセブン
不正駐輪を取り締まるビジネスが(CPGのHPより)
《不正駐輪車を勝手にロック》罰金請求をするビジネスに弁護士は「法的根拠が不明確」と指摘…運営会社は「適正な基準を元に決定」と主張
NEWSポストセブン
「子供のころの夢はスーパーマンだった」前田投手(時事通信フォト)
《ワンオペ育児と旦那の世話に限界を…》米国残留の前田健太投手、別居中の元女子アナ妻が明かした“日本での新生活”
NEWSポストセブン
眞子さんと佳子さま(時事通信フォト)
《眞子さん出産発表の裏に“里帰りせず”の深い溝》秋篠宮夫妻と眞子さんをつないだ“佳子さんの姉妹愛”
NEWSポストセブン