もはや“国民病”とも言えるのが「高血圧」だが、食生活の改善で血圧を下げられる可能性がある。みやま市工藤内科院長で内科医の工藤孝文氏は「きゅうりの成分」に注目する。
「きゅうりには、血圧を下げる効果のある3つの成分が多く含まれます。まず、『カリウム』には利尿作用があり、体内の余分な塩分を排出します。『シトルリン』は一酸化窒素を作る作用があり、血管を広げて血流を改善する。『ピラジン』は血液をサラサラにする作用があります」
きゅうりは低カロリーかつ糖質が少なく、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含むため、ダイエット食品としても取り上げられるが、近年血圧を下げる効果のある酵素が発見されたという。
「きゅうりに『ホスホリパーゼ』という脂肪分解酵素が多く含まれていることがわかりました。脂肪細胞が増えると血管が収縮して血圧が上がりやすくなりますが、ホスホリパーゼが脂肪を分解することで血管の収縮が緩和され、血圧を下げる効果が望めます。
高血圧の改善には1日3本のきゅうりが目安です。朝、夜など血圧が上がりやすい時間帯の食事前に摂取することが望ましい。また、よく噛んで食べると効率よく脂肪を燃焼できるので、ひと口あたり20回程度の咀嚼を心がけるといいでしょう」(工藤医師)
ほかの食材と組み合わせる方法もある。
「血液をサラサラにするアリシンを含む玉ねぎ、血圧降下作用のある酢、血流を促すジンゲロールを含むショウガなどと組み合わせるとより効果を得られるでしょう。脂肪分解酵素アルギニンを含む味噌をきゅうりにつけて食べると、きゅうりのホスホリパーゼとの相乗効果で脂肪燃焼効果が高まります」(工藤医師)
きゅうりだけでは体を冷やしたり栄養が偏るので、日々のレシピに組み合わせるのが望ましい。
「アジやサバ、イワシといった青魚に含まれるEPAは血液をサラサラにする効果がある。また、カリウムを多く含む山芋や血管を柔軟にするラクトトリペプチドを含むブルーチーズもお勧めです」(工藤医師)
薬のような副作用はないので、日々の生活に取り入れてみるには有力な選択肢だ。
※週刊ポスト2023年5月5・12日号