巨人に久しぶりに明るい話題が生まれている。松井秀喜と同じ背番号55で左打者の巨人・秋広優人(20)が、4月29日の広島戦でプロ入り1号を放った。高卒でプロ入りして今年3年目の秋広は、4月18日に一軍登録され、22日のヤクルト戦で「7番・レフト」で初スタメン。初打席でいきなりタイムリー二塁打を放ち、勝利に貢献。その試合から6戦中5戦でスタメン出場し、チームは全て勝っている。
「“秋広効果”と言っていいでしょう。開幕から巨人は低迷し、最下位に落ちるほど成績も悪かった。若い力が一番欲しい時に、その期待に応えて結果を残している。秋広が沈滞ムードを払拭しています」(プロ野球担当記者。以下同)
秋広は2020年オフ、二松学舎大付高からドラフト5位で入団した。1年目の2021年、キャンプの紅白戦から結果を残し、オープン戦にも出場し続けた。巨人では王貞治以来となる高卒1年目の開幕スタメンを期待されたが、オープン戦終盤には成績を落とし、二軍スタート。結局、一軍で9月に1打席立ったのみに終わった。2年目の昨年は一軍での出番はなく、今年勝負の3年目を迎えていた。プロ野球界で馬場正平(ジャイアント馬場)と並んで歴代最長となる「身長2メートルの大型打者」への期待は高まるばかりだ。
「秋広は23日のヤクルト戦で3ボール0ストライクから打って犠牲フライを上げています。4点リードの場面とはいえ、『打て』のサインが出ていても、実質一軍1年目の選手がそのカウントでスイングするには、かなりの勇気がいる。物怖じしない性格が窺えます。巨人の主力は評論家やファンから常に意見を言われる。そのため、良い意味での鈍感力が必要になる。
同じ背番号55の左打者として松井秀喜のような活躍を期待するファンもいますが、そんな松井は30分前に集まらなければならない“ジャイアンツ時間”を守らないこともあったし、若手の頃から遅刻を大々的に取り上げられても、動じずに何度も遅刻をしていた。それが良いのかは微妙ですが、そのぐらい鈍感さがあった。秋広にも松井のような何事にも動じない精神力が求められます。これは年齢とともに備わっていく面もありますが、元々の気質も大きい」
この1週間で、秋広は唯一、27日の阪神戦ではスタメン落ち。巨人は0対15で大敗した。左投手の伊藤将司が先発したためのベンチスタートだった。3試合連続ヒット中だっただけに、ネット上では原辰徳監督の起用法に疑問の声も上がっていた。
「原監督の中ではまだ左投手には厳しいという判断なのでしょう。考え方によっては、親心とも取れます。セ・リーグを代表する左ピッチャーの伊藤将司と対戦したら、せっかく好調な流れを崩されてしまうかもしれない。打者の感覚は繊細ですから、良い感覚を持ったまま、右投手の時にスタメン起用させたい意図も考えられます。徐々に段階を踏んでいって、左投手でも打てると見込まれるようになれば、相手がエース級でもスタメンに起用されるでしょう」