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全国推計3000万人いる変形性膝関節症 予防には「片足立ち10秒キープ」重心のブレが減少

ひざの慢性痛は運動で対処(イメージ)

ひざの慢性痛は運動で対処(イメージ)

 加齢とともに増す腰・ひざの痛み。中年期以降のひざ痛で圧倒的に多いのが「変形性膝関節症」だ。戸田整形外科リウマチ科クリニック院長・戸田佳孝医師が解説する。

「加齢や肥満などが原因となってひざの半月板が損傷し、それがひざの関節軟骨をすり減らしたり、神経の通る靭帯を圧迫して、歩行時や階段の昇降時に痛みを引き起こすのが変形性膝関節症です。患者数は全国で3000万人に上ると見られます」

 発症の原因となる膝軟骨の摩耗は、筋肉の衰えがきっかけの場合がある。

「加齢に伴い内腿の筋肉が衰えてO脚が進み“ガニ股”になると重心の軸がひざの内側にかかり、そこの軟骨がすり減る原因になります。その場合、足の外側が高い中敷きを靴に入れることで、体の重心がひざの中心を通るようになり、軟骨の摩耗を防げます」

 O脚の進行による歩行時の「体の横揺れ」も軟骨の摩耗や痛みのもとだ。

「『階段を降りる時にひざが痛む』という患者さんは、重心がブレて体の横揺れが大きくなっていることが多い。とくに脚を開く時に働く『外転筋(がいてんきん・外腿の筋肉)』が弱っていると体の横揺れが大きくなる。そのため膝が動揺し痛みが増すのです」

 横揺れを抑えるために有効なのが、自宅で簡単にできるエクササイズだ。

 戸田医師が推奨するのは、目を瞑ったまま両腕を肩の高さで開き、片足立ちをして10秒間キープする姿勢。重心のブレを減らす効果があるという。

「さらに股関節の外転筋力を強化すれば、歩く時に骨盤が揺れるのを防ぎ、ひざにかかる負担を減らせます。体の横揺れの防波堤とするために、ぜひ実践しましょう」

 外転筋強化の運動も実にシンプル。

【1】壁に沿って立ち、片手を壁につける
【2】壁についた手の反対側の脚を斜め後ろに上げて、1秒間止める
【3】これを15回1セットとして1日2セット行なう

 2010年にカナダのクイーンズ大が変形性膝関節症患者を対象に行なった研究では、片足立ちなどのエクササイズを2か月間継続することで筋力増強が認められ、痛みも和らいだことが確認された。

 ひざの慢性痛は鎮痛薬で誤魔化さず、運動で対処するのが正解のようだ。

※週刊ポスト2023年5月5・12日号

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