誰しも一度は見たことがあるような有名絵画が面白い切り口で解説され、「子供向けどころか、大人こそ読むべき!」「アート入門に最適!」と評判になっているのが『小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画』。発売からたった1か月で累計発行部数20万部と大ヒットを記録している。そんな図鑑の内容を少しだけ紹介。“ドレス”と“瞳”に注目しました。
世界のドレスを見てみよう
女性を魅力的に見せる上で重要なのは、ドレスを素敵に描くこと。画家たちはドレスの描き方にも力を入れている。
・当時の流行デザインを軽やかなタッチで
ルノワール『パリジェンヌ』で描かれた19世紀後半のパリで流行していたドレスを着た若い女性。軽やかな筆のタッチが洗練された雰囲気を伝え、袖や襟元から見えるブラウスの白によって、ドレスの青の鮮やかさが強調される。
・白の質感を描き分ける
アングルの『リヴィエール嬢の肖像』では、同じ白の色彩ながらも、ドレスの薄い生地とモコモコした毛皮の違いが丁寧に描き分けられている。
・ドレスで表現する貴族の誇り
ブロンズィーノ『エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョバンニの肖像』での、艶のある厚手の生地に、黒と金の模様が描かれている豪華なドレス。重厚なデザインから、女性が身分の高い貴族であることがわかる。
・贅沢なドレスと教養を感じる小道具
ブーシェの『ポンパドゥール夫人』で描かれているのは、青緑の生地にピンクのバラやリボンがデザインされたドレス。滑らかな光沢とハリのある生地感も丁寧に表現されている。女性の読書家が珍しかったこの時代に本を手に持っていることから、彼女が芸術や学問に関心が高いこともわかる。
・色の対比で際立つ華やかさ
ゴヤ『白衣のアルバ公爵』で表現されているんは、レースとアクセサリーの金、ドレスの白、リボンの赤と髪の毛の黒。4色しか用いていないにもかかわらず、それぞれの対比で華やかな雰囲気に。
“瞳”が輝いて見えるひみつ
瞳を描くとき、光が当たって反射している部分に白い点を付け加えると、瞳が生き生きと輝いて見える。この点を「ハイライト」と呼ぶ。いろいろなハイライトを見比べよう。
有名なフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』。黒い背景に浮かび上がる女性の姿を見てまず目に飛び込んでくるのは、タイトル通り大きな真珠の耳飾りだろう。その耳飾りと同じくらい目を引くのが、大きくパッチリと見開いた瞳。明るいハイライトによって、少女の表情も輝いて見える。
・切実な思いを訴えかける
シーレ『ヴァリーの肖像』では、女性の瞳の上部に、太い線でハイライトが描かれている。強い光を受けて輝く瞳と、こちらをしっかり見つめる視線。まるで切実な思いを訴えかけているよう。
・まっすぐ見つめる自信に満ちた目つき
28才の画家デューラーが描いた自画像。ハイライトには、瞳に映った窓枠の線まで細かく描かれている。強い眼差しで、自信に満ちた表情に見える。
・うるうると輝く瞳
エル・グレコ『悔悛するマグダラのマリア』で描かれている、天を仰ぎ、神に救いを求める女性。瞳の中心から右下に向かって細長い線で描かれるハイライトにより、女性の瞳が潤んで見え、いまにも涙がこぼれそうなほどの必死な思いが伝わる。
※女性セブン2023年5月11・18日号