芸能

名画で描かれた「瞳」の秘密 生き生きとした輝きを与える白い点“ハイライト”を見比べる

瞳が輝いて見えるわけは?

瞳が輝いて見えるわけは? フェルメール 真珠の耳飾りの少女 1665~1666年頃 油彩 カンヴァス 44.5×39cm マウリッツハイス美術館 ハーグ

 誰しも一度は見たことがあるような有名絵画が面白い切り口で解説され、「子供向けどころか、大人こそ読むべき!」「アート入門に最適!」と評判になっているのが『小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画』。発売からたった1か月で累計発行部数20万部と大ヒットを記録している。そんな図鑑の内容を少しだけ紹介。“ドレス”と“瞳”に注目しました。

世界のドレスを見てみよう

 女性を魅力的に見せる上で重要なのは、ドレスを素敵に描くこと。画家たちはドレスの描き方にも力を入れている。

・当時の流行デザインを軽やかなタッチで

ルノワール『パリジェンヌ』

ルノワール パリジェンヌ 1874年 油彩 カンヴァス 163.2×108.3cm ウェールズ国立美術館 カーディフ

 ルノワール『パリジェンヌ』で描かれた19世紀後半のパリで流行していたドレスを着た若い女性。軽やかな筆のタッチが洗練された雰囲気を伝え、袖や襟元から見えるブラウスの白によって、ドレスの青の鮮やかさが強調される。

・白の質感を描き分ける

アングルの『リヴィエール嬢の肖像』

アングル リヴィエール嬢の肖像 1805年 油彩  カンヴァス 100×70cm ルーヴル美術館  パリ

 アングルの『リヴィエール嬢の肖像』では、同じ白の色彩ながらも、ドレスの薄い生地とモコモコした毛皮の違いが丁寧に描き分けられている。

・ドレスで表現する貴族の誇り

ブロンズィーノ『エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョバンニの肖像』

ブロンズィーノ  エレオノーラ・ディ・トレド と子息ジョバンニの肖像 1544~1545年頃 油彩 板 115×96cm ウフィツィ美術館  フィレンツェ

 ブロンズィーノ『エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョバンニの肖像』での、艶のある厚手の生地に、黒と金の模様が描かれている豪華なドレス。重厚なデザインから、女性が身分の高い貴族であることがわかる。

・贅沢なドレスと教養を感じる小道具

ブーシェの『ポンパドゥール夫人』

ブーシェ  ポンパドゥール夫人 1756年 油彩  カンヴァス 205×161㎝ アルテ・ピナコテーク ミュンヘン

 ブーシェの『ポンパドゥール夫人』で描かれているのは、青緑の生地にピンクのバラやリボンがデザインされたドレス。滑らかな光沢とハリのある生地感も丁寧に表現されている。女性の読書家が珍しかったこの時代に本を手に持っていることから、彼女が芸術や学問に関心が高いこともわかる。

・色の対比で際立つ華やかさ

ゴヤ『白衣のアルバ公爵』

ゴヤ  白衣のアルバ公爵 1795年 油彩  カンヴァス 192.1×130cm アルバ・コレクション マドリード

 ゴヤ『白衣のアルバ公爵』で表現されているんは、レースとアクセサリーの金、ドレスの白、リボンの赤と髪の毛の黒。4色しか用いていないにもかかわらず、それぞれの対比で華やかな雰囲気に。

“瞳”が輝いて見えるひみつ

 瞳を描くとき、光が当たって反射している部分に白い点を付け加えると、瞳が生き生きと輝いて見える。この点を「ハイライト」と呼ぶ。いろいろなハイライトを見比べよう。

瞳が輝いて見えるわけは?

フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』 1665~1666年頃 油彩 カンヴァス 44.5×39cm マウリッツハイス美術館 ハーグ

 有名なフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』。黒い背景に浮かび上がる女性の姿を見てまず目に飛び込んでくるのは、タイトル通り大きな真珠の耳飾りだろう。その耳飾りと同じくらい目を引くのが、大きくパッチリと見開いた瞳。明るいハイライトによって、少女の表情も輝いて見える。

・切実な思いを訴えかける

シーレ『ヴァリーの肖像』

シーレ ヴァリーの肖像 1912年 油彩 板 32.7×39.8cm レオポルド美術館 ウィーン

 シーレ『ヴァリーの肖像』では、女性の瞳の上部に、太い線でハイライトが描かれている。強い光を受けて輝く瞳と、こちらをしっかり見つめる視線。まるで切実な思いを訴えかけているよう。

・まっすぐ見つめる自信に満ちた目つき

デューラーが描いた自画像

デューラーが描いた自画像 1500年 油彩 板 67.1×48.9cm アルテ・ピナコテーク ミュンヘン

 28才の画家デューラーが描いた自画像。ハイライトには、瞳に映った窓枠の線まで細かく描かれている。強い眼差しで、自信に満ちた表情に見える。

・うるうると輝く瞳

エル・グレコ『悔悛するマグダラのマリア』

エル・グレコ『悔悛するマグダラのマリア』 1577年頃 油彩 カンヴァス 108×101.3cm ウースター美術館

 エル・グレコ『悔悛するマグダラのマリア』で描かれている、天を仰ぎ、神に救いを求める女性。瞳の中心から右下に向かって細長い線で描かれるハイライトにより、女性の瞳が潤んで見え、いまにも涙がこぼれそうなほどの必死な思いが伝わる。

※女性セブン2023年5月11・18日号

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン