自転車に関する交通ルールに対する警察の取り締まりは、年々強化されている。昨年10月以降は自転車走行時の悪質な違反に「赤切符」が切られるようになり、起訴されれば懲役や罰金刑、前科がつく場合もある。
厳しくルール違反を取り締まらなければならないほど、重大事故につながりやすいのが自転車。自転車運転者講習の受講対象である「自転車の危険行為」には15類型あるが、なかでも警察庁が重大事故につながりやすいとマークしている違反が、【1】歩道で徐行しない、【2】右側を走る、【3】一時停止しない、【4】信号無視の4つだ。なぜこれらワースト4が危険なのか? 自転車活用推進研究会理事長の小林成基さんが解説する。以下、見ていこう。
歩道で徐行しない
「最近は自転車が歩道を突っ走り、そのまま車道にヒュッと降りたり、建物寄りの位置で歩行者とぶつかったりと悪質極まりない状況です」(小林さん、以下同)
そもそも「歩道通行時の徐行」とは、ただちに停止できる速度(成人男性の歩行速度程度)をさす。
それ以上の速度で走れば人身事故を起こす確率が高く、車道へ出た際に自動車事故を誘発する恐れもある。
右側を走る
交差点を上から見ると、逆走してくる右側通行の自転車が車の運転者から死角になるのが一目瞭然。
「自転車がすべて左側通行を守れば、交差点で一定の距離が取れ、視認もしやすく、自転車事故死者数を5〜6割減らすことも可能です」
出会い頭の事故要因1位が逆走だ。
一時停止しない
警察庁によると、自転車絡みの交通事故のうち50%以上を占めるのが出会い頭の衝突事故。前述の右側通行とともに出会い頭事故の大きな要因となっているのが、一時不停止だ。
「一時停止の標識や路上の標示では、いったん止まっての安全確認が大事。形だけ止まっても意味がない。実際、自転車で一時停止したのに車にはねられた人は結構います」
《止まれ》の標識のある場所では、必ず停止線で地面に片足をつき、時速0kmの状態で左右をよく見て周囲の安全を確認すること。こぎ始めが重たくなるからと、ジリジリ進むのは赤切符の対象だ。
信号無視
数ある違反のなかでも、信号無視は死に直結する。
「大きな交差点で右折してきた車が信号無視してきた自転車にぶつかって死なせてしまった事故の裁判で、赤信号を渡ってくると想定して運転することはできないと、ドライバーには無罪判決が出たこともあります」