2016年にTBSに入社し、2021年2月のラジオ番組『安住紳一郎の日曜天国』を最後に退社した元アナウンサーの伊東楓さん(29)。情報番組にバラエティと幅広く活躍したが、退社の8か月後にはドイツへ渡り、画家として活動を開始した。ユニクロともコラボし、ビッグネームへの道を駆け上がる伊東氏に、画家転身のきっかけを聞いた。
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アナウンサーになりたくてTBSに入社しましたが、入社当初は働き方改革などもなく、与えられた仕事には全部「イエス」。心と体を浪費するようなスケジュールで働いており、息が詰まる日々でした。気付かないうちにストレスがどんどん溜まり、「私は何をしてるんだろう?」「私はこのままでいいのかな?」と思うようになった。それで入社3年目の時に、働き方をガラッと変えたんです。当時の上司に相談して、私が担当していた仕事を一度全部外してもらい、バラエティ番組に振り切って仕事をすることになりました。
それからは、中居正広さんがMCを務める『中居くん決めて!』や坂上忍さんの『1番だけが知っている』、伊集院光さんの『伊集院光とらじおと』などの番組を担当させてもらいました。MCの方々からは「伊東は型にはまって生きるタイプじゃないから、もっとはみ出して自由な発言をしていいよ」「もし失敗しても俺がフォローするから大丈夫だよ」というような言葉をかけてもらい、リラックスして仕事ができるようになりました。
「はみ出したり失敗してはいけない“王道のアナウンサー”にならなくては」と思いこんでいた私には救いの言葉でした。伸び伸びと仕事をしていく中で、いつしか「もっと自分らしくいることができる場所があるのかもしれない」という思いを抱くようになった。そして2021年の2月、中居さんと坂上さんの番組が同時に終了することになったタイミングで私もTBSを出ようと思ったんです。
画家の道に進んだきっかけのひとつとして、中居さんの番組の中で、「似顔絵をホワイトボードに描く」というアナウンサーらしからぬポジションを与えてもらったことが大きかったかなと思います。番組を盛り上げるためにも、自分の絵のスキルを上げていかないといけないと思って、プライベートの時間でも自宅でどんどん絵を描くようになりました。あの頃はどんなに仕事が忙しくても、寝る間も惜しんで絵を描いていましたね。深夜に帰宅しても寝る前に30分だけは絵を描くみたいな。ストイックというよりは、絵を描くことが自分の中でいい息抜きになっていたし、無心で絵と向き合っている時間がすごく心地よくて、あの頃の自分に必要なことでした。
それでTBSを退社した後は、絵の仕事を突き詰めたいと思ったんです。退社当時は「絵本作家」になると宣言して、2021年3月には絵詩集『唯一の月』を出版したんですけど、それから少し考え方が変わっていきました。最初は絵と文章で私の価値観を表現したいと思っていたんですけど、最近は絵がメインになってきた気がします。