※本記事は、ヒフコNEWSからの転載記事です。
矢野経済研究所の調査により、エステティックサロン市場は3年連続の減少に直面していることが報告された。この低迷の背景には、これまでに全国に進出していた脱毛サービスの破たんがある。一方で男性向け市場が広がるという明るい動きもある。
矢野経済研究所の調査によると、エステティックサロン市場は22年度に3年連続の縮小になり、前年比97.1%の3141億円と、2.9%縮小する見込みであると分かった。
内訳としては、美顔、痩身・ボディ、脱毛など、全体の過半数を占める女性向けの市場が前年比95.5%の2055億円。男性向けの市場は前年度比103.2%の96億円、残りは物販で前年比99.8%の990億円の見込みになった。同研究所によると、女性向け市場を牽引していた脱毛分野で、全国展開チェーン2社が破たん、もしくは他社への譲渡となり、店舗数が減ったことが全体の減少につながったのだという。
救いは男性向けの市場の成長だ。男性向けは女性向けと比べれば圧倒的に小さいが、美意識が浸透する20代男性を中心に利用が顕著に増えている。「これまではある程度経済的にも余裕のある中高年層が主力であったのに対し、20代や30代といった若い年代の男性がエステの施術に関心をもち、実際にサロンに通い始めている」(同研究所)。男性は一度体験すると継続意向が強く、投じる費用も多めであるのが大きな特徴という。
同研究所によると、23年度のエステティックサロン市場は前年度比100.2%と微増と予想されている。コロナ禍を抜けて、2021年末と状況は変わるというのはポジティブな変化だろう。
ただし、脱毛サロンの返金トラブルや倒産は、若い世代の心配や不安を増幅させた可能性があるという。施設の閉鎖に遭った人のSNSを見ると、「学生にとっての脱毛費用はかなり重い」といった声も見受けられる。しばらく様子見モードになる人が増えるかもしれない。
エステティック市場を牽引した脱毛分野は大きな転機を迎えている。
ヒフコNEWSでも伝えたようにエステ脱毛には無理が生じていた。同じく医療脱毛でも、クリニックが突然閉鎖する事態が報告されている。こちらは男性専用であったが、男性向け脱毛でも無理が生じている可能性はある。全国5施設あったクリニックが急に閉鎖になるというのは異常だ。
矢野経済研究所では、「気軽にそして安心して通える印象をもってもらい、エステサロンの実力を示すことで新規顧客として定着化を図ることがいま必要とされている」とまとめている。
エステ脱毛に限らず、安心して通える印象や施術の実力はますます重要視されることになるのだろう。
参考文献
医療脱毛クリニック突然閉院、SNSで嘆きの声、相談窓口の設置も
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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