放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、ラジオ番組だからこそ会えるリラックスした日テレ看板番組の顔について綴る。
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ラジオ番組のレギュラーを長いことやっているといろんな人に直接会えるから楽しい。久々に林家木久扇師(85歳)。『笑点』で最も古い「いや~ん、バカ~ン」である。
「私はもう司会者を5人も見送ってるの。談志、前田武彦、三波伸介、圓楽、歌丸。今度は昇太を見送るの。私が元祖お見送り芸人なの」。「今でも好きな言葉は?」「座右の銘はたった2文字“入金”」だとさ。
その昔、アントニオ猪木と並んでサイン会。猪木が一生懸命「入魂」と書いているのに横で「入金」。さすがに止めてくれと言われた。
『うどうのらじお』という番組があって有働由美子からゲストに呼ばれた。ニュースで見せるあの険しい顔と違い、ラジオではリラックスしすぎる関西のお姐ちゃん。そのくせ言葉を投げあうとポンポーンと小気味いい。「高田センセも、そのご様子だと、若い頃相当おもてになったでしょう?」とひとを見抜く力もバツグン。アハハ。
「ところで30年ぐらい前に流行した“ノーパンしゃぶしゃぶ”というものは一体どういう仕組みだったんでしょうか」とノーパン談義。「私も放送局の人達から4回程接待を受けたことがあって」とその段取りと仕掛けを微に入り細に入り話すと感激。「なかなかNHK時代はノーパンしゃぶしゃぶの話はできなかったものですから……で、お肉の方は?」「これが物凄い高級」に次週はスタジオにノーパンで来そうな勢いであった。
ロッチの中岡。そう「試着室」のコントでおなじみ。WBCの決勝の席が取れたことはテレビでやっていたが、なにより凄いのは奇跡の一枚。客席で見ている中岡の前をあの大谷選手が通る。その瞬間をグーゼンにもパチリ。そうとも知らない中岡、試合が終わり感激を胸に立ちつくしていると逆にグラウンドの中から「中岡さーん」の声。見るとなんとなんと佐々木朗希投手と宮城大弥投手。「写真一枚撮りましょう」と言われパチリ。誰にも見せない大事な大事な一枚となった。
ここだけの話だがロッチ唯一の冠番組Eテレの『ロッチと子羊』はいつも見ている。人生相談の番組だ。そして中岡が本気になって出川を慕う姿はいつ見ても微笑ましい。
〈PS〉考えてみたら木久扇、有働、中岡。3人揃って日テレの看板だった。『笑点』『news zero』『世界の果てまでイッテQ!』。なるほどなあ。
※週刊ポスト2023年5月19日号