2020年に新たに飼われたペットの数は、コロナ前の2019年から犬は約5万8000頭、猫は約6万7000頭増加した。コロナ禍の陰で、ペットブームが到来していたことになる。しかし、新米飼い主が増えている中、トラブルも起きている。『犬にいいものわるいもの』『猫にいいものわるいもの』などの著書があるウスキ動物病院院長の臼杵新さんが言う。
「初めて犬や猫を飼う人の中には、チョコレートやねぎ類を与えるのが禁忌だということを知らない人もいます。犬猫がチョコレートを食べると、テオブロミンという成分が脳神経を強制的に活性化させることで、極度の興奮状態に陥る。ねぎ類は、それに含まれる硫化アリルなどの成分が犬猫の赤血球を破壊し、貧血や嘔吐を招く。いずれも、最悪の場合は死に至ります」
ねぎ類は、それらが入った汁物や粉末状になったもののほか、同じく硫化アリルなどが含まれるにんにくやにらも、与えてはいけない。ペット栄養管理士の伊藤悦子さんは、さらに多くの品目を挙げる。
「マカダミアナッツやアボカド、生の肉は中毒を起こす恐れがあるほか、ぶどうは急性腎不全を招きます。また、ガムなどに含まれるキシリトールは低血糖のリスクがある。生のたこ、いか、えびも、チアミナーゼという酵素の働きでビタミンB欠乏症を引き起こす可能性があるため、避けてください」
誤って与えてしまったり、ペットが盗み食いしたりした場合は、直ちに動物病院を受診すべきだ。少量なら問題ない食べ物も、与えすぎれば毒になる場合がある。
「牛乳、ほうれん草、かつおぶし、のり、刺し身、生の卵白、人間用のハム、ソーセージ、かまぼこ、パンやお菓子などが該当します。たくさん与えれば栄養バランスが崩れるだけでなく、さまざまな病気のリスクが高まる。
そもそも、ペットには人間の食べ物を与えない方がいいのです。もし与えるとしても、味つけはせず火を通しただけの肉や蒸したさつまいもなどを、1日に必要なカロリーの10%ほどまでにとどめるべきです」(伊藤さん)
もし持病がある場合は、与える前にかかりつけ医に必ず相談すること。本当にペットのことを思うなら、ごはんもおやつも人間のものではなく、専用のものを選ぶべきだ。
※女性セブン2023年5月25日号