加工アプリで目の大きさや足の太さに修正を加え、“理想の自分”を現実の自分かのように発信することが当たり前となっている。理想を求める思いはどんどん膨らみ……美容整形は大人だけのものではなく、未成年にとっても身近になりつつある。ジャーナリストの河合桃子氏が、美容整形の今をレポートする。
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日本美容外科学会が行った美容整形の施術件数調査によれば、2021年の全美容施術数は約230万件にのぼり、前年の約140万件から大幅に増加した。施術を受ける人の年齢は幅広いが、特に未成年者が増加傾向にあるという。
未成年での整形に踏み切った人たちはどんな動機で、どんな葛藤を経てその決断に至ったのか。経過や満足度はどんなものか。実際に整形手術を受けた母娘に話を聞いた。
都内の中学2年生の西山由美さん(13才、仮名)は、今年4月に二重まぶたを作る美容整形の手術を受けた。由美さんが整形前に抱えていた外見のコンプレックスについて、こう話す。
「小学校の高学年になる頃から鏡を見るのが嫌になりました。顔全体というか、特に目が嫌で、鏡で顔を見るたびに気分が暗くなりました」
母親の亜希子さん(43才、仮名)は、その姿を頻繁に目にしていた。
「K-POP好きの娘は好きな韓国人のアイドルを見て、“ああいう顔になりたいな”と少しずつ言うようになりました。そこまで重く受け止めていなかったのですが、ある日夫の前で、“パパに似なきゃよかった”と真剣な表情でつぶやいたんです。冗談ではない口調だったため、娘からの言葉に夫は思わず沈黙。このままでは家族の雰囲気が険悪になってしまうと気が気じゃありませんでした。何より、娘が思った以上に深刻に考えていたことを知り、これはなんとかしないと、と考えるようになりました」(亜希子さん)
解決策を探していた亜希子さんが辿り着いたのが、美容整形だった。「未成年の整形」となるとハードルが高く感じられるが、亜希子さん自身が美容整形の経験者であることが後押しになったという。
「私自身、若い頃からあった目の下の膨らみが年々目立つようになり、知人から“疲れてる?”と言われることがよくありました。そんなときに、美容整形のYouTube動画を見たんです。形成外科の先生が整形のデメリット、手術の失敗例やその対処法などネガティブな面も語っていて、“この先生なら信頼できる”と直感しました」(亜希子さん)