5月の第2日曜日は「母の日」。そこで、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが、今期ドラマの“母親役”について分析します。
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5月14日は「母の日」ということで、芸能界はきっと“ベストマザー”の話題で賑わうことでしょう。
昨今は、篠田麻里子サマ(37才)や熊田曜子サン(40才)、そして福原愛さん(34才)のように、ベストで著名なママたちにも“その後”さまざまな人生がおありで……戸惑うことも少なくありませんよね。そんな中、ドラマの中の母たちは個性を生かし、存分に輝いていらっしゃいます。
4月期のドラマで最初にネットをザワつかせた母親役は、波瑠サン(31才)主演の『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)での富田靖子サン(54才)ではないでしょうか。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で新垣結衣サン(34才)の母親役だったうえ、同作と同様に宇梶剛士サン(60才)と夫婦役だからです。
富田サンは中学3年生のとき、12万7000人の応募者の中から選ばれて主演した映画『アイコ十六歳』の頃から演技に定評があったかた。当時から根性もすさまじかったようで、同じオーディションを受けていた森口博子サン(54才)によれば、頭に鉢巻きをして、鬼の形相で壁に向かってド〜ン、ド〜ンと手をつきながら気合を入れていた富田サンを見て、「この子には勝てない」と落選を納得したのだそうです。何だか目に浮かびますよね。
演技派の富田サンは“毒親”を演じられるという強みもお持ちで、2022年7月期、Hey! Say! JUMPの中島裕翔クン(29才)主演の『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)で、娘役で同じく演技派の吉川愛サン(23才)との会話劇には、絶望とともに「富田靖子はものすごい」と感じました。すごいのではなくものすごいのです。
会話劇といえば、私が愛してやまない岡田惠和さん(64才)脚本の『日曜の夜ぐらいは…』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系)で、清野菜名サン(28才)の母親役を演じている和久井映見サン(52才)。最近ネット上では、かなりふくよかになられた様子が話題になっています。
1994年1月期の『夏子の酒』(フジテレビ系)や同年10月期の『妹よ』(同)などでの可憐な時代を思い出せば、そりゃあ変化は出るでしょうが、2007年から出演し続ける『必殺』シリーズ(朝日放送テレビ・テレビ朝日系)での「花御殿のお菊」には、あれぐらいの貫禄は必要なのかもしれませんよ。
そんな和久井サンは『日曜〜』では清野サンが帰宅した途端、女子トークがしたくてしたくてたまらないチャーミングな母でもあります。2020年10月期の『姉ちゃんの恋人』(関西テレビ・フジテレビ系)で林遣都サン(32才)の母親役をされたときもそうでしたが、つらいことをたくさん抱えながら健気に生きていく母親役をやらせたら天下一品なのです。