中国東北部の山東省招遠市政府は労働節(メーデー)の大型連休中の5月3日、時価で1000万元(約2億円)相当となる25kgの金の延べ板を片手で持ち上げることができたら、無料でプレゼントするとのキャンペーンを開始。大きな話題を呼び、招遠市文化旅行局のホームページのフォロワーが一気に50万人増えたことが分かった。
同市は10年以上も前から地元の鉱山会社の支援を受けて「ゴールドラッシュの町」と銘打った観光村を建設し、観光客の誘致に努めていたが、このアイデアで、今年のゴールデンウイークは例年の2倍以上の観光客で賑わったという。山東省党委員会機関紙「大衆日報」が報じた。
招遠市中心部から10kmほどの雲龍村はもともと中国でも屈指の金の産出地で、中国の北宋時代(960~1127年)には朝廷が金鉱場を監督し、金の採掘を行っていたことで知られる。いまでは、金産出量は減っているものの、それでも村を流れている川から砂金が産出されている。
これに目を付けた市政府が鉱山会社の山東中国鉱業集団の協力を得て、約3億元(約60億円)を投資して、2012年6月に招遠淘金小鎮(ゴールドラッシュタウン)を開設した。同集団が毎月約20万元(400万円)相当の砂金を川に流して、観光客に金探しを体験させるツアーを実施。観光客は探した金の同じ重さの金製品と無料でもらえることから、この企画が大当たりした。
2020年初めからの新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が激減したが、今年になってコロナの行動制限も解けたことから、25kgの金の延べ板を片手で持ち上げた人に金塊をプレゼントすると新企画を開始したというわけだ。ただし、延べ板は長さ40cm、高さ10cm、幅は10cmで扱いにくい上に滑りやすく、成功者は出ていないという。
招遠市文化旅行局のホームページには「人が多くなくて、観光スポットはきれいで、子供たちは河で金を探す遊びに夢中。見つけるのは難しいですが、砂金の粒がたくさん入った袋を抱えた人を見て、頑張ったら大きな金の塊を探すことができました」(家族連れの主婦)、「25kgの金塊は重かった。両手でも持ち上がらなかったが、触ることができただけでも楽しかった」(若い女性観光客)などとのコメントが掲載されている。
中国の観光地ではこれまでの厳しいコロナ規制が解除されたことで、観光客誘致のアイデアに頭を絞っており、同市の「ゴールド企画」に注目が集まっている。