『ラヴィット!』(TBS系)で5月2日に放映された韓国ロケが、韓国社会でも大炎上している。ソウル市内の望遠(マンウォン)市場を訪ねた相席スタート・山添寛が、一度使用した爪楊枝を店頭に並ぶ商品に突き刺して再び口に運んだのである。同行の共演者や店員はすぐに注意したが、反省の様子を見せない山添の態度に対して視聴者から批判が殺到した。韓国ではこの騒動について爪楊枝ならぬ「ツバ楊枝テロ」という意味の生々しく過激な言葉が軒並み用いられている。
ネット記事の書き込みでは、山添のマナー違反に対する辛辣な批判が吹きあがっている。なかには「やっぱり日本は汚い」「こんな不潔な日本に行くなんて考えられない」といった日本全体を揶揄するものもある。
一方で、こうした声は過度な批判であり、背景に反日感情があるとの指摘も出ている。その根拠とされるのが、スーパーでのとある“習慣”だ。
韓国では買い物客が試食コーナーを何ヶ所か周るとき、一本の爪楊枝を何度も使用するのである。もちろん「商品」か「試食品」かという点で違いはあるものの、「普段から並んでいる試食品に唾のついた爪楊枝を指しているのだから取り立てて目くじらを立てるほどではないだろう」という主張だ。なかには、この騒ぎを機に、「スーパーの試食での楊枝は一回だけで捨てよう」という声も見受けられた。
韓国の食文化に対する指摘もあった。韓国では会食の際におかずやスープをシェアし、口をつけた箸やスプーンでつつき合うのが伝統的なスタイルだ。それよりは山添の爪楊枝のほうが唾が広がるわけではなかろうという意見も見られた。だが、これに対しては、「唾楊枝テロとは話が違うだろう」という反論も寄せられていた。
こうした“つつき合い”の食事の風習は、コロナ禍では控えられてきた。だが、エンデミックとなった今では再び復活している。ただ、それは韓国社会で仲間意識を培うための儀式のようなものなのだ。日本人の友だちが韓国に来たときにシェアした食べ物を箸でつついてくれないと「ちょっと寂しい」と話す若者もいる。
ところが「唾楊枝テロ」の場合はそういう話ではない。部外者の箸つつきには、拒絶反応が爆発する。だから韓国社会が騒然としたのだ。さらに、最近の韓国では『スシロー』で男性客が寿司に唾をつけた迷惑行為や類似の事件が日本で発生すると必ず報じられている。そのため、不衛生な行為が日本では多い、というのが韓国社会での印象なのである。そうした行為について「民度が低い」と日本を卑下するような強い批判もある。だが、実際に今回のような日本のテレビ番組での「唾楊枝テロ」が韓国で行なわれてしまったことからも、こうした非難には謙虚に耳を傾けるべき部分もあるだろう。もしかすると日本社会全体が歪んできており、迷惑行為はその兆候のようなものなのかもしれないからだ。