近年、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHKほか)や『六本木クラス』(テレビ朝日系)など話題のドラマに出演が続く俳優の早乙女太一。そんな彼が座長を務める大衆演劇「劇団朱雀」の2年半ぶりの公演『祭宴』が5月19日金に開幕。二代目座長として公演にかける思いとは──。
2015年に一度解散した後、2019年に復活公演を行った大衆演劇「劇団朱雀」。まずは改めて今に至るまでの経緯を聞いた。
「劇団朱雀はぼくの父親が立ち上げた劇団で、ぼくは二代目の座長になります。2015年に解散したのはぼくの意向で、劇団以外の活動にもっと挑戦して、もっといろんなことを学びたいという思いがありました。でもその頃から、いつか劇団を復活させたいとも考えていました。なのである意味、復活に向けての解散というか。しっかり芸を学んで身につけた後で、自分が納得できる形に劇団朱雀を作り直そうと思っていて、それで2019年に復活公演を行なったという流れです。
大衆演劇って、テレビもなかった時代には確かに大衆にとっていちばん身近な娯楽だったけれど、いまは違いますよね。いまの大衆の娯楽はポケットの中にあるスマホ。画面越しにどこからでも、何にでもアクセスできる時代の中、お客さんと演者が一体となって、お祭りのように盛り上がれる。それが大衆演劇の魅力であり、ぼくが大衆演劇をやる意味だと思います」(早乙女・以下同)
では、今回の2年半ぶりの公演はどんな内容になっているのだろう。
「ここ数年は劇場でもお客さんの声出しが禁止されていたり、日常でも行動や感情を抑えなくてはならない状況にありました。なのでぼくたちが公演することで、そういった閉塞感があった場所にもう一度血が巡って、命が芽吹く感じを作りたいです」
座長として大事にしているのはお客さんだけではない。
「共に舞台に上がる仲間たちに輝いてほしいという思いもあります。美しく着飾って輝く人もいれば、泥臭くもがいているときこそ輝いて見える人もいますが、どんな人にも共通しているのは、目の前のことに真剣に向き合って、そのときを懸命に生きているということ。そういう場所を作っていきたいと思っています」
最後に、普段の息抜きの方法を聞いた。
「行ったことのない街のご飯屋さんを探すことです。その日の気分で知らない駅に降りて、ふらっと歩いてみたり、スマホの位置情報を見たりして探すんです。少し前にも、一軒家でやってるカジュアルイタリアンのお店を見つけて。雰囲気も温かいし、おいしかったです」
※女性セブン2023年5月25日号