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大相撲、熾烈な“新弟子争奪戦” 日大出身有望株を入門させる白鵬、日体大OBを多く抱える稀勢の里

宮城野部屋で期待の川副(写真左/時事通信フォト)

宮城野部屋で期待の川副(写真左/時事通信フォト)

 5月14日に5月場所が始まった大相撲。今場所の注目力士が、元横綱・稀勢の里が率いる二所ノ関部屋に入門した中村泰輝だ。5月場所で「大の里」の四股名で初土俵を踏む中村は、日体大時代に2年連続アマチュア横綱(全日本選手権優勝)など13のタイトルを獲得。幕下10枚目格付出しでデビューし、早ければ2場所で初入幕の可能性もある。

 少子化などで新弟子希望者が減るなか、スピード出世が期待される強豪高校・大学の相撲部出身者は激しい奪い合いとなる。もともと存在感が大きかったのは日大相撲部出身者で、親方が日大OBの4部屋(追手風、尾上、木瀬、境川)には、多くの日大出身者が入門してきたが、「指導者の不祥事などで日大の存在感が低下し、代わって台頭してきたのが今回の大の里らを輩出した日体大」(協会関係者)だという。

 人材の流れに変化もあるという。

「親方が日大OBの部屋に日大勢が入門するケースもあるが、学外出身の親方が割って入るケースも目立ってきた。代表格が白鵬。相撲強豪校の鳥取城北から日大に進んだ石浦を獲ってOB人脈に食い込み、昨年は日大で学生横綱になった川副、祖父が米国人の大谷が相次いで宮城野部屋に入門した」(ベテラン記者)

 大谷は2022年9月場所に序ノ口デビューとなったが、トントン拍子で幕下まで番付を上げている。

「白鵬は鳥取城北OBのスカウトにも強く、北青鵬、向中野、落合を獲得。豊富な資金力と少年相撲大会『白鵬杯』の上位者の囲い込みで“有望株はすべて獲る”という勢いです」(同前)

 別掲の図解は、主な大卒力士らの出身大学と所属部屋を整理したものだが、令和以降の入門組(白抜き文字)の分布を見ると、宮城野親方が日大OBの親方衆を差し置いて日大出身の有望株を入門させていること、また現役時代からのライバルである二所ノ関親方が自身は中卒(引退後に早稲田大大学院修了)ながら日体大出身力士を多く抱える構図がわかる。

 将来有望な新弟子の争奪戦は熾烈を極めてきた。

「協会を解雇された元関脇・貴闘力がYouTubeで親方時代に名門校出身者をスカウトしたところ、相撲部監督から1億円要求されて断わったという話を暴露していた。

 一部の有望株のスカウトでは学校サイドに高額な支度金が渡るという話があるが、そんな話が出るほどに将来有望な力士は部屋の稼ぎのチャンスになるということ。力士が出世した際に激励会、昇進・優勝パーティーなどの祝儀を取り仕切る部屋があるが、それで投資を回収できるという構図です」(前出・ベテラン記者)

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