スター選手には甘い球界の体質が変わる可能性はあるのか──。文春オンラインに強制わいせつ致傷疑惑を報じられ、一軍登録を抹消された西武ライオンズの山川穂高(31)。昨年、本塁打と打点の二冠王を獲得し、3月にはWBC侍ジャパンのメンバーとして世界一に貢献した球界を代表する選手である。
「昨年までの9年間で3度ホームラン王に輝き、2018年にはパ・リーグのMVPも受賞した。通算218本塁打は現役選手のなかで9位です。トップのおかわり君こと中村剛也は462本(5月15日現在)ですが、今年21年目。山川は昨年までの9年間での数字ですから、このまま現役を続ければ、ミスタープロ野球・長嶋茂雄さんの通算444本を抜く可能性も十分にあります。そのくらい、球史に名を残すホームランバッターなんです」(球界関係者)
そんな大物選手に問題が発覚したため、球界は騒然としている。はたして山川はどうなるのか。
「逮捕されれば別ですが、不起訴、示談なら解雇にはならないのではないか。表に出ていないだけで、女性問題を抱えている選手は他にもいるでしょう。山川はかなり酷いケースですが、不起訴、示談なのにクビを切るという前例を作ると、今後“女性問題”というだけで、球団に同じ対応を求める声が強くなりますからね。ただ、それで世論が納得するのかどうかは別問題。捜査が進展して決着した後、西武はどの程度の処分を下すのか、注目を集めています」(前出・球界関係者)
西武は近年、不祥事が多発している。2020年8月には佐藤龍世が相内誠とともに千葉県内のゴルフ場に出掛けた際に法定速度60キロの道路で149キロで走行し、道路交通法違反を犯した。裁判で、佐藤は「同乗していた先輩の相内さんの指示に従った」と話し、懲役3か月、執行猶予2年の判決が下った。
球団は2人に無期限の対外試合出場禁止およびユニホーム着用禁止などの処分をした。相内は入団時から度々問題を起こしており、この年の11月に戦力外通告を受けた。佐藤の処分は12月31日をもって解除されたが、翌年8月に日本ハムにトレードされた。
また、2020年10月には平尾博司(博嗣)・二軍打撃コーチが選手2人の私物を盗んだことが発覚し、解雇されている。一見、厳しい措置を取っているようにも見える。
「いずれも『球団の顔』というわけではなく、コーチや若手選手だから、こうした措置が取れたのでしょう。彼らの代わりになる人材がいないわけではない。しかし、過去を遡ると、スター選手には甘い裁定が下りがちな傾向は否めない。西武に限らず、球界全体で『スターを守ろう』という意識がどこかにある。だから、“代わりのいないホームラン打者”である山川の処分が緩くなる可能性も十分考えられる」(野球担当ベテラン記者。以下同)