芸の師であり、所属していた事務所『ワハハ本舗』の社長でもある喰始氏を激怒させ、52歳でクビになったガッポリ建設・小堀敏夫さん(55)。あれから3年、人生の折り返しで、大きなよすがを失った男は、どのようにして今日まで生き延びてきたのか。拍子抜けするほどに飄々と、ただしぶとく芸人であり続ける芸歴31年の小堀さん。その生活を支えてきたのは、昨今話題の「ギャラ飲み」と、クズ芸人の代名詞でもある「ギャンブル」だった──。【全3回の第2回。第1回から読む】
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──『ザ・ノンフィクション』出演後、事務所をクビになったこと以外で、活動内容に変化はありましたか?
放送直後からしばらくは、いろんな話がきて調子よかったんだよ。テレビにもちょこちょこ呼ばれてね。3年経って、最近は元に戻りつつあるかな。それでも影響はまだ残っていて、たまに地方のイベントに呼ばれたりする。ただ、『ネタ見せをサボるクズ芸人』っていう印象が強かったんだろうね。ネタをやってくれとは言われなくなった。
──芸人がネタをしないで何をするんですか。
「借金の仕方を教えてください」とか、呼ばれた先の婦人会に囲まれてただ怒られるとか。「もっと親御さんを大切にした方がいいですよ」って。いいよ、金くれるならなんだって言えよと思ったけど、セコイのはさ、俺に意見が言いたいからって呼んでおいて、急に「これでお金取るんですか?」なんてゴネだすんだよ。当然、「こっちもプロなんでね」とか言って突っぱねる。セコい小競り合いだよ(笑)。
一度、NHKから連絡きたこともあったね。太鼓持ちの歴史を特集するとかで、ディレクターから「芸人、ヨイショ、おひねりなどで検索していくと、最終的に小堀さんに辿り着くんです」なんて言われて。嬉しいような、悲しいような。あれ、放送されたのかな。
──2019年の芸人の闇営業騒動が鎮火し切っていないなか、『ザ・ノンフィクション』での生々しいギャラ飲みの風景はインパクトがありました。
あの一件ですっかり悪いイメージがついちゃったけど、まったくやましい気持ちはないね。ガッポリ建設は、『エンタの神様』に出ていた頃から、いち早くギャラ飲みのシステムを導入してきた。地方から呼んでくれる社長さんもいる。ギャラ飲み業界で地方から声がかかるのは、数えるぐらいしかいないんだよ。この業界ではトップグループ。言ってみりゃ、ガッポリ建設はギャラ飲み界のくりぃむしちゅーみたいんもんだから。いや、なんかややこしいな。