芸能

高田文夫氏“芸界この50年”を振り返る トリオ、漫才から若手落語家、いまや講談から浪曲へ

高田文夫氏が語る

高田文夫氏が語る50年

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、ラジオ番組だからこそ会えるリラックスした日テレ看板番組の顔について綴る。

 * * *
 GW、都内最古の劇場(150周年)といわれる明治座の社長らと「この節の芸界」などを肴に食事会。東京の芸の未来なぞ考える。

 別日、浅草公会堂で3日間やっている立川談春の会。秋に真打の披露目をする女流の弟子、こはる改メ立川小春志の予行演習の会の趣。談春がつけた名らしいが音的には“小三治”“小金治”のひびき。いまだに公開で小言をくらっているのが面白かった。思えば小さんから談志、そして談春からこの小春志へと芸の血は流れているのだ。

「そういう昔の芸の話なんか、高田が言っとかなきゃもうどんどん分からなくなっちゃうんだからな」と学生時代からの友人達に言われた。「現場でからんで首つっこんできてる奴こそ言う権利あるんだよ」。

 たった50年前のことでも今の若い人は分からない。私がこの業界に入った1970年頃は三波伸介や東八郎のトリオブームとコント55号ブーム。1980年になるとご存じの通り“漫才ブーム”が起きてB&Bやツービート。そのコンビもバラして『オレたちひょうきん族』。あまりにも漫才師の勢いがすごいので同じスタッフで“落語”も何とかしようと私の構成・司会で深夜『らくごin六本木』。5年もやったがどうにもならず、ならばいっそと、作家をやりながら談志に入門。大爆笑落語を創りあげていった私こと立川藤志楼。

 1980年代から1990年代「落語冬の時代」といわれた時、マスコミがいつも取りあげたのは談志は別格として“6人抜き真打 小朝”“新作落語の鬼 円丈”そして“元祖二刀流 藤志楼”の3人だけである。新宿紀伊国屋ホールでの私の独演会は10年やったがまったくチケットがとれない程の人気。今よく噺家のコピーに「今 最もチケットがとれない落語家」など紹介文があるがあんなもの40年も前に私のために使われていたものだ。

 この3人に憧れて漫才ではなく落語に飛び込んできた若者が昇太、談春、志らく、喬太郎らである。草木も生えない寄席。そこへ2001年志ん朝の若き死。マスコミは「落語は終わった」と書いたがクドカンこと宮藤官九郎が2005年にドラマ『タイガー&ドラゴン』執筆。一気に若手落語家ブーム。

 そこへ来て講談の方から生きのいい神田伯山が飛び出し時代の寵児。そしてそして、なんと古くさく思われていた浪曲から玉川奈々福、太福という明るい人気者が誕生。そこへこの度8年の歳月をかけた川上アチカ監督のドキュメンタリー映画『絶唱浪曲ストーリー』が完成。老浪曲師と曲師の元に入門し苦悩する港家小そめの物語~ッ いざッ!!

※週刊ポスト2023年5月26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン