芸能

元天才子役・黒田勇樹、再出発のきっかけになった「ハローワーク職員からの一言」を明かす

天才子役として活躍した黒田勇樹

天才子役として活躍した黒田勇樹

 いつの時代も天才子役という存在は世間の注目を集めるが、1980~1990年代にかけて、その演技力で視聴者に強烈な印象を残したのが黒田勇樹(41)だ。日本アカデミー賞新人男優賞など数々の賞を受賞した少年は、40歳を超え、子を持つ父親になっていた。「今日も徹夜で作品作っていたんですよ」。寝不足の様子でインタビューに現れた黒田は、当時と変わらない輝いた瞳で半生を語り出した。【前後編の前編】

 かつての天才子役は、年月を積み重ねて奥行きが深い大人に変化していた。4月23日に41歳の誕生日を迎えた黒田勇樹だ。

 6歳でNHK大河ドラマ『武田信玄』で信玄の孫・武田信勝役で俳優活動をはじめ、8歳の時に帝国劇場のミュージカル『オリバー!』で2792倍のオーディションを経て帝国劇場最年少で主役のオリバーに抜擢された。その後もドラマ『人間・失格?たとえばぼくが死んだら』に出演し、最高視聴率28.9%を記録。山田洋次監督の『学校III』に出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。ほかにも映画、ドラマで仮面ライダーグレイブを演じるなど俳優として活躍していたが、28歳の2010年5月に突如、引退を宣言した。あれから13年──。

 現在は舞台やドラマで監督、脚本、演出を手掛け、自身も出演しているという。離婚を経て、現在は女優の妻・珠居ちづるさん、2歳の長男と生活している。

「仕事がない時は、警備員のアルバイトをしています。バイト代より安い仕事は受けていないですね(笑)。お金に興味がないですけど、家族を養わなければいけないし、税金も払わないといけないですから。芸能界に魅力を感じているわけではないんです。家族が楽しくないと意味がないですから。家族と楽しい時間を過ごして、職場で楽しい仕事をして。この順番を大切にしています」

 芸能界に魅力がない──。この言葉に虚勢はない。28歳で芸能界から一度離れたのは衝動的な決断ではなかった。

「安定した収入があったし、当時はお金に困ることがなかった。ただ、20代になってドラマの監督やスタッフと酒を飲みに行く機会が増えて。色々なお話を聞いて勉強させて頂くことは多かったけど、二日酔いで現場に行って自分のパフォーマンスを下げていた。当然、仕事も徐々に減っていって、30歳になることを考えた時に、『オレ、俳優できなくなったらどうなるんだろ』って怖くなったんです。外の世界に出ようと。コールセンターや日雇いで引っ越しのアルバイトをしたり。引退した後も俳優のオファーは来ていたけど、この時期は全部断っていました。この世界は椅子取りゲームだから椅子は空けなきゃって。ホームページを作ったのも、俳優の仕事を断る窓口が必要だったからです」

 物心つく前から「天才子役」としてスポットライトを浴び続けていた。周囲からすればまぶしく映ったが、人知れず孤独に悩んでいた。仕事に多忙な日々で友達と遊べない。ゲームをする時も1人だった。「(対戦ゲームで)波動拳を打てない。それがコンプレックスだったんです」と独特の言い回しで振り返る。20代になるとアルコールの量が増えた。

「地元で『テキーラ王』と呼ばれていました。近くに体育大があって。柔道部員3人に『おまえ、黒田勇樹じゃねえか。飲もうぜ』って絡まれたので、『最初につぶれた人が全額おごりでいいですか』って言って3人をつぶしたり(笑)。荒んでいましたね。30歳になって医者に相談して断酒のプログラムを作ってもらい、3年間酒を断ったことで、無理な飲み方をせずに酒との付き合い方を覚えました」

 俳優を引退し、アルバイトで生計を立てる。一般社会に身を投じて内面を見つめ直すことは、人間として成長するために必要な時期だった。本名で芸能活動していたため、アルバイト先でも1週間も経たないうちに周囲に気づかれた。だが、「隠すことでもない」と意に介さなかった。コールセンターで客から苦情が来て社員が困った時は、「上司のフリをして対応してほしい」と懇願されて電話で対応したことも。

 黒田は好奇心旺盛で屈託がない。アルバイト生活の傍ら、SNSで日々の出来事などを発信すると話題を呼び、「ハイパーメディアフリーター」とファンに名付けられるように。週刊誌に「天才子役の転落人生」と書かれたこともあった。「転落じゃなく、転職なのに」と複雑な思いだったという。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン