野球評論家の張本勲氏が朝鮮日報の社説(5月13日付)に登場。「私は韓国人で、私の祖国だから言うこと」とし、「いつまで日本に『謝罪しろ』『カネを出せ』と繰り返さないといけないのか。恥ずかしい」と、韓国国内に向けて厳しい「喝」を飛ばした。
張本氏はこれまでも祖国に向けて「喝」を飛ばしたことがないわけではないが、野球の韓国代表の不甲斐なさを中心に野球評論家としての範疇でのコメントが大半だった。そのため、このニュースが報じられるや、日韓両国のSNSでも話題に。大阪市立大学名誉教授で在日韓国人3世でもある朴一氏はこう語る。
「張本さんは尹錫悦大統領と同じく、韓国という国の未来を考えると、日本と協力して経済や安保を優先すべきだと主張しているのでしょう。韓国国内でも若い世代を中心に半分くらいは賛成するのではないかと見ています。
ただし、植民地支配時代を知っている高齢者層は尹大統領の考えに否定的なため、張本さんの発言に反発を覚えるかもしれません」
5月19日から21日まで広島で開催されたG7では被爆地初の開催で、世界からは核廃絶への期待が込められた。被爆者である張本氏にも強い想いがあるのだろう。朝鮮日報には冒頭の発言だけでなく、被爆経験についても触れている。朴氏が続ける。
「張本さんは在日韓国人の代弁者として、日韓両国から誹謗中傷にあいながらも矢面に立ってきた。そうした過去があるからこそ、“いつまで日韓関係がこんなにねじれているのか、もういい加減にしてくれ”という思いがあるのだと思います。ウクライナ侵攻や台湾情勢、北朝鮮の脅威もあり、日韓関係の改善は急務。張本さん風に言えば、尹大統領を支持しない韓国の一部の勢力に『喝』を入れたと思います」
尹大統領の支持率は30%前後で推移し、20%台に割れこんでいるという報道もある。不支持の理由には対日をはじめとした外交での不満が大きいとみられている。尹大統領の今後の見通しは決して明るいものとは限らないが、張本氏はこう想いを述べている。
「今、韓日関係の雪解けを進めてくれている尹錫悦大統領には感謝しています」
※週刊ポスト2023年6月2日号