700年以上受け継がれてきた初夏の風物詩・浅草の「三社祭」が5月19~21日に開催された。コロナ禍で規模の縮小を余儀なくされていたが、今年はほぼ例年通りの内容が復活。4年ぶりに本社神輿が練り歩くとあって、多くの見物客が溢れていた。
コロナ禍前は3日間で150万人以上も訪れ、「浅草が1年でもっとも賑わう日」ともいわれていた三社祭。2020年以降は、新型コロナの感染症対策で、期間短縮、担ぎ手の人数制限、神輿をトラックの荷台に載せて運ぶなどの対策を取りながら開催を続けてきた。
最終日の21日、この日は「一之宮」「二之宮」「三之宮」という本社神輿3基を境内から担ぎ出す「宮出し」が行なわれるとあって、朝早くから観光客でごった返していた。「オイサ、オイサッ」という威勢のいいかけ声が聞こえる度に、観光客が神輿に殺到する。国際通り近くにある日本酒バー『annsu』の女将さんはこう語る。
「去年は簡易式で出店も出ないで、神輿は担がないで車でひいて回っただけだったので、寂しかったですね。今年は4年ぶりでコロナ前のように出来ました。私も氏子なんですが、今年は担がずに、店頭で日本酒を売っています」
女将さんの側では、看板娘という従業員が浴衣姿で観光客にお酒を振る舞っていた。途切れることのない客を相手に、うなじに汗をかきながらも日本各地の銘酒の説明をしていた。
「私は岡山出身で、日本酒が大好きなんです。岡山の日本酒はまだまだ有名じゃないので、発信していきたいんです。今年の三社祭は凄く盛り上がっていて嬉しいです、少しでも多くの人においしさを知ってもらうよう頑張ってます!」
写真をお願いすると、照れながらも“推し”だという、岡山産の日本酒を持って満面の笑みを向けてくれた。
目玉である神輿を担ぐのは男性だけではない。神輿を担ぎ終わったという法被姿の3人組女性に話を聞いた。手にはそれぞれ缶ビール。暑さもあり、お酒も進んでいるようでほろ酔いだ。写真一番左の女性はこう話す。
「コロナ前の規模、形式で出来るのが久しぶりなので嬉しいですね。去年は簡易的だったので。なんか、周りからも嬉しそうな空気が伝わってきます」
3人は元々友達。語ってくれた女性が中心となって、今回神輿を担ぐことになったという。
「私は氏子なので、4歳の時から担いでます。今年はお神輿を担げることがわかったので友達を誘いました。みんなで楽しく担ぎました。来年もやります!」