歌舞伎俳優の市川猿之助(47)が一家心中を図ったとみられる事件で、本人は一命をとりとめたものの、父親で歌舞伎俳優の市川段四郎さん(享年76)と母親の喜熨斗延子さん(享年75)は死亡した。猿之助は警察に「家族会議をして、あの世で生まれ変わろうと両親と話した」と説明したことがわかっているが、事件には解明されていない数々の疑惑と謎がある。
猿之助は今後、罪に問われるのか
甲南大学名誉教授で弁護士の園田寿氏はこう解説する。
「全員で死のうとした『心中』ならば生き残った猿之助さんは、少なくとも他人の自殺を手助けしたとして『自殺幇助』となり、6か月以上7年以下の懲役、または禁錮刑になる。
両親が向精神薬を服用した後、猿之助さんが意識を失った2人の頭にビニール袋をかぶせたという報道もありましたが、そうなると『自殺幇助』とみなされる可能性は高い。ただ、心中で生き残ったケースは情状酌量により起訴されない場合もあります。
一方、嫌がる相手に無理やり薬を飲ませた『無理心中』の場合や、寝たきりだったとされる父・段四郎さんが、自殺の意思を持てない状況だったのに服薬させた場合は『殺人』となります」
猿之助は遺書に何を書いたのか
猿之助は「知人を養子にして財産を相続させる」という内容の書き置きを残していた。梨園関係者は言う。
「実は猿之助は骨董などの目利きとして有名で、目黒の自宅には2000点におよぶ浮世絵のコレクションがあり、魯山人や半泥子などの茶器や稀覯本も数多く所有しています。
コロナ禍の頃には『舞台がなくなり収入が激減したが、弟子を養わなければいけない。ついにコレクションを売らなければいけないのか』と悩むほど大事にしていた。遺書の相手は彼の“大切な人”だったと言われています。愛着のある品々を愛する相手に渡したかったのでは」
※週刊ポスト2023年6月9・16日号