香港警察はこのほど、香港内の小中高校と大学の教室や公共スペースに監視カメラを設置するよう通達、これを知った教師や学生たちの間で「常時警察に監視されることになるのではないか」との不安が広がっていることが明らかになった。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
この動きは2021年秋、親中派の立法評議会議員(国会議員に相当)が「授業内容や教師と生徒のやり取りを監視するために、教室に監視カメラを設置する必要がある」と述べたことに端を発する。
香港の民主化運動に中学生や高校生、大学生らが多数参加していたのに加えて、教師が学校内で学生らに民主化の重要性などを訴えたことが、学生らのデモ参加を促したとみられているためだ。
警察の監視カメラ設置計画では、学校の敷地内に少なくとも2.8メートルの高さの周囲フェンスを張り巡らし、その上にカメラを数十メートルおきに設置し、赤外線センサーも備えるというもの。警備員が常駐するセキュリティガードブースも設けるという。
これは学校内の学生や教師の動きのほか、外からどのような人物が学校を訪れているのかをチェックするためでもあるという。
これに対して、教師たちは「学校は盗難やいじめなどの問題に直面している」としながらも、「音声認識や顔認識技術のようなハイテク対策は合理的で透明性があるとは思えない」、「あまりにも厳重過ぎて、いまの学校にはふさわしくない。まるで刑務所のようだ」などの声が出ている。
香港では2020年6月30日に香港国家安全維持法が施行されてから、教育関係者への締め付けが厳しくなっている。同法違反の報告を受け付けるホットラインにはこれまで教育問題に関しての通報が約40万件も寄せられたという。また、デモに参加して逮捕された学生は数百人にも達し、刑務所などで中国共産党を正当化する「再教育」もプログラム化されていると伝えられる。