プロ野球はセ・パ交流戦に突入しているが、セのペナント争いを引っ張っているのが岡田彰布監督率いる阪神タイガースだ。5月30日の西武戦で勝利し、実に16年ぶりとなる9連勝を記録。翌31日は敗れて連勝は途切れたものの、5月は19勝5敗で、55年ぶりに球団の月間最多勝利の記録に並んだ。適材適所の選手起用や独特な言葉遣いで注目される岡田監督が18年ぶりの「アレ(優勝)」に向かって突き進むなか、地元も沸きに沸いている。
「このあいだも、六甲おろしを口ずさむ阪神ファンがスキップで店の前を通り過ぎていきましたわ」
そう話すのは、尼崎中央三丁目商店街振興組合の寺井利一理事長だ。開幕ダッシュに成功し、交流戦突入時点で貯金は17。地元商店街で買い物をする阪神ファンの機嫌もいいのだという。
尼崎中央三丁目商店街は毎年、阪神タイガースの優勝を願って「日本一早いマジック点灯」を行なうことで知られている。交流戦が始まる5月30日、阪神尼崎駅前にある同商店街を訪れると、アーケードに吊り下げられたボードの“マジック”は「97」となっていた。
もちろん、いくら阪神が独走態勢に入ったとはいえ、本物のマジックはまだ点灯してない。この商店街の“マジック”は、開幕時点で「143」が点灯し、阪神が勝つとその時点の「残り試合数」まで減るという仕組みのものだ。要はシャレなのだが、近所に住む阪神ファンの男性は「去年は数字を見るのもつらかったけど、今年は全く違う」と話す。
「昨シーズンは開幕からドロ沼の9連敗。10日以上も『143』のままやった。それが今年は開幕から4連勝やろ。そのあとも連勝、連勝や。5月に入ったら3連勝、7連勝、交流戦前に8連勝やで。ボードのマジックを減らす担当のペットショップ店長が大忙しや」