メジャーリーグ開幕から2か月余り。前人未到の「二刀流」で侍ジャパンのWBC優勝を実現した直後のシーズンでもあり、エンゼルス・大谷翔平(28)の活躍に世界中が注目している。悲願のプレーオフ進出に向けて奮闘が続くなか、新書『もっと知りたい! 大谷翔平』を上梓した大リーグ評論家・福島良一氏が「エンゼルスにとって地区最大の強敵」と指摘するのがアストロズだ。
「昨年のワールドチャンピオンであるだけでなく、最近6年間で2度の世界一と5度の地区優勝を誇ります。大谷さんの天敵アレックス・ブレグマン、キューバの大砲ヨーダン・アルバレスなど強打者揃い。エンゼルスが地区優勝するために、絶対に倒さなければいけない相手です」(福島氏)
今季1度目の対戦(現地時間5月9日)では惜しくも敗戦投手となったが、最大のライバル・アストロズの強力打線に、ピッチャー大谷はどう挑むのか。今後の見どころについて、福島氏が解説する。
* * *
対戦成績3割5分の難敵、アレックス・ブレグマン
ピッチャー大谷さんが「すごく頭の使う球団」とその強さを実感しているのが、2017年と2022年にワールドシリーズを制覇したアストロズ打線。同じリーグ、同じ地区でプレーオフ進出を目指している大谷さんとエンゼルスにとっては最大の敵です。
「単純に自分のやりたいことをやっていれば抑えられる打線ではない。いろいろと考えないといけない打線なので、個の力も強いですけど、線の中でいろいろ考えている、強いチームだなと思います」
そう語っている宿敵アストロズに対して大谷さんは2022年、5試合に登板し3勝1敗、防御率1.21、投球回29回3分の2、45奪三振と圧倒的な成績を残しました。これはすごい! としか言いようがありません。
ただ、アストロズ打線には大谷さんの天敵も存在します。それがアストロズの主軸アレックス・ブレグマンです。中距離ヒッターですが、勝負強く、2019年にはホームラン41本、112打点で、エンゼルスのマイク・トラウトに次いでMVP投票2位に選ばれました。2015年のドラフトでアストロズの1巡目、MLB全体で2番目に指名された逸材です。
コンパクトなスイングで大谷さんを攻略し、2022年までの対戦成績は20打数7安打の打率3割5分とかなり打ち込まれています。ホームランこそ打たれてはいませんが、勝負所で適時打やつなぐ打撃に徹し、抑えたい場面で打たれています。いまや大谷さんにとっては手強い難敵です。しかし逆に言えば、大谷さんがブレグマンを抑えることがアストロズに勝つ近道になるのです。