昭和のプロ野球の顔として活躍した江夏豊(75)と江川卓(68)。ともに奪三振で球場を沸かせる「剛腕」として鳴らしたふたりが、今回、久しぶりに顔を合わせた。左投げと右投げ、リリーフと先発……異なる点もあったが、スタイルは似ていた江夏と江川。打者との勝負に話題になると、2人の対談は俄然盛り上がる。【全4回の第2回。第1回から読む】
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江夏:ところでお前さんは、現役を何年やった?
江川:9年です。
江夏:9年間でホームラン何本打たれたの?
江川:結構多くて、253本です。最も多いのは肩を痛めたシーズンで、年間36本。江夏さんに勝ちましたよ(笑)。
江夏:俺は、18年やって299本やからね。
江川:少ないですね~。
江夏:それでもやっぱり人より多いなと思うけど。まぁ、高めで勝負するピッチャーと外を攻めるのが生命線のピッチャーの違いなんだろうな。江川は、リリーフをやってないからね。
江川:実は3回だけやったことあるんですよ。
江夏:3回じゃ~な。
江川:3セーブあげたんです。緊張しましたよ。
江夏:そんなもん、俺は1週間であげてるわ。
江川:どれくらいリリーフやられたんですか?
江夏:大体半分くらい。最初の10年間は先発で、残りの8年がリリーフ。
江川:先発はわかるんですけど、リリーフは何が楽しいんでしょうか?
江夏:楽しいと思って投げたことは一度もなかったね。ただ、一番ホッとするのが最後のバッターを打ち取ってマウンドを降りた時。先に降りたピッチャーが「ありがとう」って言ってくれるのが最高の瞬間だった。
江川:リリーフすることで代わったピッチャーを救うわけですからね。