性的マイノリティへの社会的関心が高まるのにともない、各施設のトイレの在り方も再考されている。今年4月に新宿歌舞伎町にオープンした「東急歌舞伎町タワー」は、2階にジェンダーレストイレが設けられた。しかし、男女が同一空間を利用する点に対して、性犯罪が発生する可能性を危惧する声が続出。ダイバーシティと防犯、ふたつの観点からネット上を中心に喧々諤々の議論が巻き起こった。
そんな中、新たに問題視されているのが、渋谷区教育委員会が提案した“地域開放トイレ”だ。昨年5月発行の「渋谷区『新しい学校づくり』整備方針~学校施設の未来像と建て替えロードマップ~」と題された資料では、区内の学校施設の建て替え案などがまとめられている。
この資料には、「SOGIEに配慮したトイレとし、児童・生徒用トイレは一般の男女トイレに加え、男女共用個室を設ける」と記載されている。注として、「SOGIE(ソジー)/性的指向(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identity)・ジェンダー表現(Gender Expression)の頭文字を取った、性のありようを表す言葉」との記載もある。
また、「昇降口に近い地域開放用トイレは、多様なニーズに対応したトイレとする」として、男女が同じ空間を行き来することになるトイレのイラストも載っている。
このアイデアに違和感を表明するのが、国民民主党の公認を受けて立候補し、4月に行われた統一地方選で初当選した、2児の母でもある渋谷区議・くわずるゆき子氏(35)だ。〈ユニバーサルだけではなく、防犯もしっかり!〉と苦言を呈するツイートが注目を集めた。くわずる氏に取材し、あらためて当該案の問題点を説明してもらった。