元少年院の法務教官で、現在は犯罪心理学や教育犯罪学の知見から事件などを解説するVTuber「犯罪学教室のかなえ先生」。チャンネル登録者数5万人を超えるかなえ先生が刊行した、『人生がクソゲーだと思ったら読む本』(小学館)が発売前にもかかわらず重版が決まり話題を呼んでいる。
“外見がいいだけで性格が悪い人が評価されるのが許せない”と憤る女性に「アナタがその不細工な心を改めないことにはこの悩みは解決できません」と愛のムチを打ったかと思えば、コロナ禍で失業し、精神疾患を患って生活保護を受けている自分が嫌いだと苦しむ人には「いま働けないのは“運ゲー”の罠。生活保護にバツの悪さを感じるのは真面目さと真摯さの裏返し」と優しく答える──。
本書で恋愛から“親ガチャ”まであらゆる相談に回答しているかなえ先生だが、そのスタンスは“あえて他人事として回答する”という極めて冷静なもの。
本誌・女性セブンも読者の悩みをズバッと解決してもらうべく、かなえ先生に話を聞いた。
いまやるべきは前向きな先送り
都内在住のAさん(53才・仮名)の悩みは「夫と一緒にいるのが精神的に無理」ということ。
「子供も独立したので離婚したいけど、今後の人生が不安。パートで働き続けてきたから20年以上、正社員で働いていない。資格もないし、どうすればいいでしょうか」
かなえ先生は“先送り”という言葉をキーワードにアドバイスする。
「離婚して家を出ていくべきだと思います。ただ、離婚した後の生活に不安を覚えているということでしたら、ここは一旦問題を“先送り”にしてみることがおすすめ。決断することを放棄するのではなく、決断の先に存在する問題解決の準備を先回りして行うということです。
例えばパートを増やしたり、時給のよい仕事に変更するなど離婚後も自立した生活を続けられるように生活を整えるのもひとつの手。
もし“いまの状態も嫌。でも離婚しても生活に困るから嫌”と思っているのなら、それはただのわがまま。先送りする期間を決め、離婚後の人生に一点の光をともす準備を進めてください」
運が悪かったと受け入れるしかない
千葉県在住の主婦Bさん(63才・仮名)は自宅から片道1時間圏内に住む母親の介護問題に悩んでいる。
「いまは元気だけど、いつ介護が必要になるかわからない。姉と兄は実家から遠く、近場に住んでいる私に面倒を見させようとしています。
施設に預けようという案も姉と兄がかわいそうと渋っている。なら、あなたたちのどちらかが介護すればと思ってしまう私は心が狭いのでしょうか……」
かなえ先生はこう言う。
「近場に住んでいるならば、Bさんが介護の中心的役割を担うことになるのは、運が悪かったと受け入れるしかない。これは誰かがやらなければいけないことですし、物理的な距離が離れていることは誰の責任でもない。ですが、少し気になったのがご姉兄さまの反応です。
基本的に親の介護について口出ししていいのは、実際にやっている人だけ。もしも施設に預ける案を渋るならば、Bさんに対して金銭的な援助等を行うなどして、介護に参加するべきでしょう。何もせず、“お母さんがかわいそう”と口しか動かさないならば、“じゃ、アナタたちがお世話してよ”と言っていいと思います。ご姉兄さまの発言は、Bさんの苦労や負担をあまりにも軽視したものです」