臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、6月4日に帰国した成田空港で逮捕されたガーシー容疑者とその支持者たちにみられる刺激希求性について。
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YouTubeによる広告収入が少なくとも1億円数千万円! それも期間が2022年4~8月の数か月の間だというのだから、暴露系YouTuber、前参議院議員のガーシーこと東谷義和容疑者が配信した動画がいかに人々の興味と関心を惹いたのかがわかる。
世間の人々は、顔は知っているけど、自分とは直接関係ない著名人らの裏話は知りたくなるものらしい。動画配信が始まったのは、ガーシー容疑者がアラブ首長国連邦(UAE)滞在中の2022年2月。開始するや瞬く間にチャンネル登録者数を増やし、一時期は100万人を突破。さらに7月、参院選比例代表で旧NHK党から出馬し、芸能人や著名人らに関する47の暴露話を公開すると公約し当選。もし身近に、他人の秘密を晒すと話すような人間がいても大概の人は、その人間を相手にしようとしないと思うのだが、ガーシー容疑者に投票したのは28万人にも上った。
どんな人達が投票したのか。一番わかっていたのはガーシー容疑者だと思う。おそらく彼らは「刺激希求性」が高かったのだ。刺激希求性は新しくて珍しい刺激や、スリリングな体験を求める傾向のことである。いったいどんな秘密が暴露されるのか、その刺激は指先1つで簡単に手に入る。そうして彼らはガーシー容疑者に投票した。だが逆に、投票した人々はガーシー容疑者の刺激希求性を高めたともいえる。心理学者の小島真司氏の記事(PRESIDENT Online 2019年12月1日公開)によると、刺激希求性の持ち主は周囲を喜ばせたり、楽しませたりすることで、手っ取り早く刺激を得ようとする傾向があるからだ。