食通に愛される名店が軒を連ねる都内の商店街。とある店に貼られた「お知らせ」を一目見ると、悲しげな顔で踵を返す客がちらほら──。
《12月31日(土)から都合上暫くの間お休みします》
芸能人御用達の焼き肉店「X」に、この紙が貼られて、もう半年が経過した。
この場所に店が根をおろしたのは、いまから50年も前のこと。焼き肉店の激戦区として知られるエリアで、Xは長年多くの客の舌を唸らせてきた。
「絶妙な厚さにカットされたお肉は唯一無二のおいしさ。足しげく通う著名人も多く、ここに行けば誰かしらに会えると話題の店でした」(常連客)
吉永小百合(78才)や長嶋一茂(57才)などXのファンを公言している芸能人も多い。田原俊彦(62才)は、テレビ番組で「ジャニー(喜多川)さんと訪れた思い出の店」として紹介。松たか子(45才)も「子供の頃から家族で通っていた店」とバラエティー番組で明かしていた。
中でもこの店に並々ならぬ愛情を持っているのが『嵐』のメンバーだ。
「彼らがジャニーさんから『嵐』と名付けられたのはこの店なんです。ハワイでのデビューイベントの前日にここで食事をして『Youたち、嵐だから』と告げられたのだとか」(芸能関係者)
2020年12月に放送された『VS嵐』の最終回では、こんなサプライズも。誕生日を迎える相葉雅紀(40才)にメンバーがプレゼントを手渡すという企画で、松本潤(39才)のプレゼントが、Xの焼き肉弁当だったのだ。
「一口食べただけで相葉さんはXの焼き肉弁当だと気づいたんですよ。特に松本さんはメンバーとジャニーさんの思い出の場所として記憶していて、それは相葉さんも同じでした」(テレビ局関係者)
こういった経緯もあり、嵐ファンの間では、Xは“聖地”として知られていた。
「嵐が活動を休止してからも、この店に足しげく通い、活動再開への思いを語り合うファンが絶えないそうです。嵐ファンはもとより、常連客でいつも賑わっていましたし、そもそもXが入っているビルは持ちビルのはず。お店は繁盛しており、経営が苦しいわけではないと思うのですが」(商店街関係者)
店によれば、当初は今年2月上旬に再開の予定だったが延期。3月にも「キッチンスタッフが戻ってきて、今後の方針についての話し合いをしており、一日も早い再開に向けて頑張っている」と公表していたが──。
「女将さんの高齢化や人手不足、スタッフへの技術の継承が充分にできていないことなどが休業の理由だそうです。女将さんの意向もあり、閉店も視野に入れ、一棟まるごとビルの売却をするという噂もありました」(前出・商店街関係者)
常連客の間では、閉店の噂が立ちこめる中、店の行く末を関係者に尋ねると次のような答えが返ってきた。
「お待たせしていますが、7月には営業再開の予定で動いていますよ」
多くのファンが、思い出の味に再び舌鼓を打てる日を心待ちにしている。
※女性セブン2023年6月22日号