無料コロナ検査の補助金の不正申請が相次いでいる(写真はイメージ)
ヒフコNEWSで伝えたが、東京都が無料コロナ検査の補助金について、美容医療関連クリニックを含む11事業者、183億円に上る不正申請を確認していたことが明らかになった。さらに、大阪府においても同様な不正申請が確認されたことが判明した。
8月までに申請したすべての事業者を調査
現在、大阪府健康医療部感染症対策企画課が調査中で、同課によると、370事業者からコロナ無料検査の補助金申請を受けたが、このうち申請額の大きい15事業者を抽出して調査を実施した結果、10事業者に修正が必要と確認。このうち7事業者の不正申請を確認し、交付金決定を取り消したという。
7事業者の修正後の申請額が70億2500万円で、42億7800万円が不交付になった。府は既に事業者に交付した11億3000万円については返還請求した。
例えば、補助金交付の条件として、抗原検査とPCRの両方の検査を実施することが求められるにもかかわらず、必要な検査のうち片方のみ検査が行われたケースなどがあった。
現在、大阪府は知事の記者会見のみで概要を説明しているが、関連する事業者名を含むプレスリリースはまだ発表していない。これは、不正申請に関する調査が進行中であることも関係するようだ。調査を担当する感染症対策企画課によると、補助金を申請した全370事業者について精査をしている。調査結果は8月中には一般公開される予定だ。
美容医療関連の不正申請目立った東京都
ヒフコNEWSで伝えているが、既に東京都でも11事業者の不正申請が明らかになっている。東京都での不正申請の総額は約183億円に上った。
美容医療関連のクリニックが複数関係していることが明らかになっている。中でも不正請求金額が最大だったのは、国内初の男性向けアートメイククリニックとして開院のPRをしていた「medical 4 men clinic」という医療機関だった。その不正申請額は約69億円に上った。
このほかにも美容医療関連の医療機関としては、約28億円の不正申請を行った「医療法人華風会」、約6.3億円の不正申請を行った「医療法人社団彩祥会」、約3700万円の不正申請を行った「渋谷美容皮膚科クリニック」が含まれた。補助金の交付済みだったのは、渋谷美容皮膚科クリニックに対する約1400万円のみで、これは返還命令が出ている。なお、医療法人華風会については所在地が大阪府大阪市である。この事業者が東京都で無料PCR検査センターを設置していた。
今後、大阪府のほか他自治体でも同様な不正申請が明らかになる可能性もある。
参考文献
東京都が無料PCR検査の不正申請で補助金決定を取り消し、美容皮膚科関連の医療機関による約69億円が最大
令和4年度PCR等検査無料化事業補助金 交付決定の取消し等について
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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