これまで本誌・週刊ポストで何度も地震予測を的中させてきた「MEGA地震予測」。5月5日に起きた能登地方地震(M6.5)をはじめ、5月22日の新島・神津島近海(M5.3)や5月26日の千葉県東方沖(M6.2)など各地で大きな地震が相次ぐなか、JESEA主席研究員の郭広猛博士は、本誌5月22日発売号で千葉県や伊豆諸島といった地域に警戒を促していた。そんな郭博士が新たに警鐘を鳴らしている地域が「近畿地方」だ。
もし、近畿地方で大地震が発生した場合、どんな被害が起こり得るのか。
今回「ピンポイント予測」が発出された地域は、南海トラフ巨大地震の想定震源域と重なっているが、政府の中央防災会議は同地震が発生した際の被害想定として、和歌山県や徳島県をはじめとする太平洋側の地域で10メートルを超える津波が発生するとしている。
同地域を震源とする地震に警戒を強めるうえでは、津波への備えが不可欠ということだろう。日本防災研究センターの古本尚樹氏が語る。
「近畿地方のなかでも特に注意が必要となるエリアが大阪です。湾岸沿いに主要施設が集中しており、M6程度でも太平洋側で地震が発生すれば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や大阪万博会場の夢洲がある此花区や京セラドームがある西区などを中心に津波による浸水が発生する恐れがあります。そのほか、同じく海沿いの地域で阪神甲子園球場がある兵庫県の西宮市や尼崎市なども警戒が必要です。
さらに大阪は淀川をはじめ、多くの河川が入り組んでいる地形のため、淀川区、福島区などの地域では『河川津波』の発生も心配されます」
2011年の東日本大震災でも津波が北上川を遡上し、河口から12キロ付近まで被害が広がった。
「河川津波は川幅が狭いところほどスピードが速くなり、水も溢れやすくなります。加えてこれからの時期は、梅雨による水かさの上昇も想定される。海沿いだけでなく河川沿いに住んでいる人も、緊急速報が出たら速やかに避難することが重要です」(古本氏)
浸水が想定されるエリアのなかには、県や市から「津波避難ビル・水害時避難ビル」に指定されている施設がある。西区にある京セラドームもその一つだ。
「大阪市及び西区との協定により、京セラドーム大阪の外周デッキが津波災害時一時避難場所に指定されています。津波の浸水は地下部分のみで1階アリーナは浸水しない高さです」(大阪シティドーム管理本部)
このように各団体が防災や避難について情報発信をしているので、自身が住んでいる自治体のホームページなどを確認してほしい。