朝鮮労働党は北朝鮮の青年組織である社会主義愛国青年団に対して、最高指導者である金正恩党総書記に対して「尊敬する父」との新たな称号を使うよう指示していたことが明らかになった。
しかし、同団の団員は14歳から35歳までの青少年で構成されており、20代から30代の団員からは「(金総書記は39歳と)あまりにも年齢が近すぎて、『父』とは呼べない」などとの不満の声が出ているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じている。
この決定は最近、北朝鮮各地で開かれた同団の会合で発表されたもの。会合で配布された教育資料には「金正恩総書記は卓越し洗練された指導者で、わが国の尊厳と力量を世界に知らしめる大胆不敵な愛国者でもある。青年団員にとっては、『尊敬する父』なのである」などと書かれていたという。
金総書記については、これまで、首領様、大元帥、あるいは将軍さまなどと呼ばれてきた。「尊敬する父」という称号は金氏の祖父の金日成主席や、父の金正日総書記にも使われていた。
金日成主席は1967年、55歳のときにこの称号を使い始め、1992年から若者たちは金主席を「尊敬する祖父」 と呼ぶようになった。金主席の死後、金正日総書記は53歳で「尊敬する父」と呼ばれるようになり、2011年に亡くなるまで使われている。
昨年10月には、娘の金朱愛(ジュエ)さんが公の場に現れ、正恩氏と頻繁に視察などの公務に随行するようになっているのも「北朝鮮人民の『国父』」の立場をアピールする狙いがある」との見方もできる。