回転寿司チェーン大手「スシロー」の岐阜県の店内で、醤油ボトルや湯呑みをペロペロと舐めて元の場所に戻すなど少年による迷惑行為が映った動画がSNSで拡散された問題で、スシローの運営会社「あきんどスシロー」が問題を起こした少年に対し、約6700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したことがわかった。
今回のスシローの提訴を受け、週刊ポストは迷惑行為を受けたほかの企業に今後の対応を取材したところ、多くの企業が「警察の捜査を受けてから今後の対応を考える」と民事での損害賠償請求を否定しなかった。
その一方で、苦しい状況に置かれているのが、回転寿司チェーン「すし銚子丸」だ。銚子丸では今年2月、横浜都筑店で卓上に置かれていたガリの容器に電子たばこの吸い殻が混入していることが発覚。関東にあるすべての店舗で、ガリや醤油、わさびといった共用の食品や、小皿や湯呑みといった食器を撤去し、店員がそのつど提供する形に変えた。この行為を撮影した動画はSNS上で確認できなかったが、迷惑動画騒動の渦中での事件だったため、SNSでは迷惑行為への怒りの声が相次いだ。
銚子丸は発覚後、神奈川県警に吸い殻を提供し、県警も正式な被害届が提出され次第、店の業務を妨害した疑いで捜査する方針を固めたと報じられていた。騒動から4か月経ち、どうなったのか。運営する「銚子丸」に話を聞くと、意外な返答だった。
「我々の場合、被害届が受理されなかったんです。要件が揃わないと受理されないそうで、その要件が整っていないと。具体的に何が足りなかったのか……。なので損害賠償請求する相手がいないんです」(広報経営戦略室)
加害者が特定できなかったため、泣き寝入りせざるを得ない状況だったというわけだ。一方で、銚子丸は客に安心した食事の提供のため、3月に25年にわたり続けてきた「回転レーンでの寿司の提供」を終了。同社のTwitterには「寿司ペロに回転寿司文化が破壊された」「悲しい、とても悲しい」と、残念がる声が相次いでいた。
一連の迷惑行為は日本の飲食業界が長年にわたって築きあげた「安心・安全」を揺るがすものだ。他社の動向に注目が集まる。