女優・広末涼子(42才)との不倫騒動で渦中にいるミシュラン一つ星店の人気シェフ・鳥羽周作氏(45才)。鳥羽氏のようにテレビなどで活躍してきた料理人はこれまでも少なくなかった。本業とこうした“副業”の両立事情についてコラムニストで放送作家の山田美保子さんが解説する。
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連日、「契約解除」や「退任」「降板」などのニュースが相次いでいるのが、広末涼子とのW不倫報道の渦中にいる『sio』のオーナーシェフ、鳥羽周作氏。「フランス料理界の革命児」としてフレンチの新時代を切り拓いていることは知っていたが、こんなにも色々なビジネスにかかわっていたのかと改めて驚いている。
同時に、ここ数年、広告代理店やPR会社、テレビ番組などが企画書に書いてきたのが「鳥羽周作」の名前。結果、コンペでも勝利し続け、鳥羽氏本人もそうしたオファーを片っ端から快諾してきたのではないだろうか。
どんな業界にも“人たらし”で、特に相手が“ジジ”でも“ババ”でも転がし上手な人というのはいて、「人を引きつける術」は確実にビジネスの成功へと繋がる。私はお会いしたことはないが、鳥羽氏とはきっとそんなタイプだったとと思われる
小学校の教員、Jリーグの練習生など異色の経歴をもつ新進気鋭のシェフというのは、それだけで引きがあるし、氏はメディアで積極的にアピールすることで事業を拡大してきた。“ミシュラン一つ星”獲得店というのは、決して敷居が高くない印象もある。「幸せの分母を増やす」ことをポリシーに歩んできた鳥羽氏は、多くの人に「わかりやすい」人気者だったのだろう。
テレビ界で重宝される人気シェフたち
テレビ番組に人気料理店のシェフが出演することになったのは1993年に開始された『料理の鉄人』(フジテレビ系)があまりにも有名だ。料理の腕やメニューのレパートリー、アイディアなどだけではなく、テレビ的なトークやキャラクターが求められたため、頻繁に出演した、いわゆる“アイアンシェフ”らは色々な意味で毎週必死だったと思う。
もう“時効”なので書くが、当時、有名店『C』のシェフが、某アイアンシェフ氏に対して激怒していたことがある。ある日、ふらりと店に現れ、ランチコースを食べた氏が同店のシェフに賛辞を贈った前菜が、後日、『料理の鉄人』で再現されていたというのである。つまりアイアンシェフ氏は“ネタ探し”のために知人が経営するレストランを訪れ、食材から盛り付けまでそっくりな一皿で勝利を収めたというのだ。以来、『C』では、その前菜を出さなくなった。お客から「『料理の鉄人』で〇〇さんが作っていたものですよね?」などと言われる前にメニューから下げたのだ。
怒るシェフの気持ちも、今で言う“映える”一皿をパクったアイアンシェフ氏の気持ちもよくわかった。テレビ受けする斬新で派手な料理など、そう毎週毎週思いつくわけではない。だからヨソからアイディアをいただいた。氏は氏で追われる日々だったのだろう。
そんな『料理の鉄人』のブームによって、午前帯や午後帯の情報生番組の「料理コーナー」にも人気店のシェフらが登場するようになった。多くの場合、人気タレントと人気のシェフとの組み合わせで、“今日の晩御飯”のヒントになるような一皿が紹介された。