エンゼルス・大谷翔平(28)が6月24日(現地時間6月23日)から敵地コロラド州デンバーでロッキーズとの3連戦を迎える。このカードで期待が高まるのが、今季“4度目の正直”となるサイクルヒット達成だ。現地時間6月9日のマリナーズ戦では先発投手として出場し3安打(単打、本塁打、二塁打)を放ったものの、最終打席は一ゴロに倒れ“サイクルヒット未遂”となった。『もっと知りたい! 大谷翔平』を上梓した大リーグ評論家・福島良一氏は「偉業達成の可能性」についてこう語る。
「今季序盤戦にも2度、MLB史上初となる“先発投手でサイクル安打にあと1本”という試合がありました。ロッキーズ戦の舞台となるデンバーのクアーズフィールドはサイクルヒットが一番出やすい球場として知られ、1995年の開場以来、すでに18回も記録が出ています。6月は特に多く出るというデータもあるので、大谷さんの特大本塁打だけでなくサイクルヒットにも注目したい」(福島氏)
ロッキーズ3連戦での登板は予定されていないものの、二刀流の大谷なら「投手で無安打&打者でサイクル安打」という前人未到の記録も夢ではない。さらなる偉業への期待について、福島氏が語る。
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大谷さんはホームランを打てる長打力に加え、MLBトップレベルの俊足を誇る万能選手です。その結果、二塁打、三塁打も多くなるため、1試合にシングルヒット、二塁打、三塁打、ホームランを打つ、いわゆるサイクルヒットの達成が期待できます。
すでに2019年6月13日、敵地フロリダ州セントピーターズバーグのレイズ戦で自身初のサイクルヒットを達成しています。その試合は3番DHで先発出場し、初回にホームラン、 3回に二塁打、5回に三塁打、そして 7回にセンター前ヒットを放ち、MLBで日本人選手初のサイクル安打を達成。MLBで通算3089安打を誇るイチローでさえ成し遂げられなかった偉業でした。
同年9月7日のホワイトソックス戦でも初回に二塁打、3回にホームラン、4回にシングルヒットを放ち、MLB史上5人しかいない1シーズン2度のサイクルヒット達成も目前! という試合もありました。また、2022年6月11日のメッツ戦では4打席目以降に三塁打が出ればサイクル安打達成でした。
ちなみに、その試合でかつて投打の二刀流に挑戦した同僚のジャレド・ウォルシュが初のサイクルヒットを達成。試合後、ウォルシュは大谷さんにも記録達成のチャンスがあったことに触れ「彼ほどの能力があれば、来週達成したって僕は驚かないね」と期待していました。
大谷さんのようにパワーがあって足も速ければ、ホームランだけでなく二塁打や三塁打も打てるため、自身2度目となる偉業達成への期待も膨らみます。2023年4月27日のアスレチックス戦では、ホームランが出れば先発投手による史上初のサイクルヒット達成まであと一歩と迫りました。同じく先発投手として出場した5月15日のオリオールズ戦でも、二塁打を残してサイクル安打まであと1本の好成績を残しました。